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足女の居る宿

灯が消えた宿

闇の帳のその向こう。
湿った石畳と酒気と汚濁の匂い。

狂おしい時間が過ぎて夜も眠りに入ったその時間。
灯が消えた宿の鍵が開いている。
扉をくぐれば水の様に張り付く闇の向こうの薄明かり。
その先で、少女のような形をした人形があなたを待ち受けていた。

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(己は常に作られたもの。それは事実だ。
体も意志もすべてそうなるように計算されたもの。
しかし、それを全く恥ずべきものではないと、人形は捉えていた。
だからこそ、その顔色に怒りも悲しみも現れるはずがなかった。……しかし)

貴方、今、私と、あの方を、重ねましたね?

(責めるような声色。傷を撫でる手が止まる。
直後に悔悟の色が顔に現れるが、口にした言葉が消えるわけでもない。
やがて、触れていた手のひらは膝の上へと落ちて)

おやりなさい。
首が落ちてしまえば無理ですが、折れる位なら自分で何とかできますもの。
此処にいるのは、都合のいい使い捨ての女とお思いなさいませ。
首が無理なら殴りつけても私は構いません。早く。

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