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足女の居る宿

薄暗い談話室

少し暗い道、人気のない宿。
宿屋の看板を指さす子供に母親は顔をしかめて「あすこへは近寄るな」という。
たくさんの女の声も今は昔。
人々の忌避だけが残って、それでも毎夜小さな灯がともる。


宿に入ったものはオーナーである不愛想な老婆に連れられて薄暗い談話室に押し込められる。
茫洋としたランプの明かりの向こうには、貴婦人然とした少女が腰かけていた。
その少女は宿の「正式な客」になるかをはかる秤だ。
足らぬと思えば飲み食いした酒や茶の料金を取られ、足りると思えば枕元に花を飾られてそれ以上の金をとられる。

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(闇からにじみ出たような印象の少女が椅子に腰かけている。温んだ果実水の入ったグラスの縁を指先でなぞり乍ら来るともしれない客人を待っている)

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