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足女の居る宿

深夜三時の窓のない部屋

賑わう時間は既に過ぎ去り、そこかしこの暗がりに汚らわしい気配だけが蟠る。
集る虫共はいまだ眠りの中に。時を忘れた狂人の声だけが時折木霊する。

かの宿もまた、他の宿と同じように静まり返っていた。
しかし入り口にはランプの小さな明かりが灯り、目的の客人が来れば扉は開くだろう。

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ではその様に手配いたしましょう。
必要なものがあれば私に指示してくださいまし。できる範囲で用意いたします……。

(小さく息を吐いた。逡巡するように視線が動き)

……ファビアは此処に向いた女ではありませんでした。
此処の女の身の上なんて大抵はそうなのですけれど……。
でも、あの子は幸運を得て元居た場所に戻ろうとしていたのです。

(そこまで言うと立ち上がり、深く頭を下げた)

どうかご武運を。吉報をお待ちしております。

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