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足女の居る宿

深夜三時の窓のない部屋

賑わう時間は既に過ぎ去り、そこかしこの暗がりに汚らわしい気配だけが蟠る。
集る虫共はいまだ眠りの中に。時を忘れた狂人の声だけが時折木霊する。

かの宿もまた、他の宿と同じように静まり返っていた。
しかし入り口にはランプの小さな明かりが灯り、目的の客人が来れば扉は開くだろう。

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(部屋に近づくにつれて、ぎしぎしと木床が鳴る音が大きくなる。重々しい足音が扉の前で止まると、間もなく乱暴に扉が開かれた。
 現れたのは如何にも山賊。片手に酒瓶を携えた、小汚い身なりの大男)

オウ──邪魔ァするぜえ。

(たった一言、口を開く。酒臭い息が香の匂いと入り混じっていくような気がした)

まさかご指名頂けるとはねェ。こりゃ、モテ期ってやつか?
嬢ちゃんならともかく、あのバアさんにモテても嬉しかあねえがな。ゲハハハッ。

(無遠慮にどっか、と椅子に座り、酒瓶を口につけてぐいと傾けた)

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