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梔色特別編纂室

【1:1】幻の夜と、お菓子ねだりの仔猫の話

――――買い込んだお菓子をタイプライターの横に積み上げて
タールのように黒いコーヒーを淹れて
月末。

窓の外の夜闇には南瓜と魔法の灯火。シャイネンナハト。
しかし部屋に満ちるのは

ダカダカダカダカダカダカダカダカダカ\チーン/
ダカダカダダカダカダカダカダカダカ\チーン/

ミシンか何かかと言わんばかりのタイプライターの唸り。

月末。
猫の記者は、わかりやすく締切に苦しんでいた。

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それじゃあ、お菓子をくれなかったらわたしがカタリヤをくすぐる番ね。
(小さく舌を出して悪戯な表情をしてみせる仔猫でしたが)
(クッキーの包みあらば、表情だけで終わるに違いありませんでした)

…………?
(視線の意味は、仔猫には理解できませんでしたけれど)
(望みに応じない理由はありません。家族であることが、いちばん大事なのですから)
……呼ぶとしたら、カタリヤ姉様?

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