ギルドスレッド スレッドの一部のみを抽出して表示しています。 梔色特別編纂室 【1:1】ちいさな姫と、恋の試練の話 【唇に蜜】 カタリヤ・8・梔 (p3p000185) [2019-01-19 19:08:30] 海洋貴族。「宝島卿」ホーキンス家からの招きを受けた私を待っていたのは確かに「宝」、ではあった。海洋らしい日に焼けた肌。はちきれんばかりのまんまる坊やが頬を真っ赤にして、その後ろには「がんばれ坊ちゃま」「勇気を出して」なんて応援団、もとい侍従たちが勢揃い。震える手で手紙が差し出されれば割れんばかりの拍手、喝采。……ははぁん。なるほど。膝を折り、頭を垂れて「畏まりました、王子様。この命、必ずや私めが」――――酷い笑い顔を隠すのに、心底苦労した。====================はじめまして。いとしのはぐるま姫様へ、この手紙をささげます。ぼくはユースチス・アーサー・ホーキンスといいます。今年で10になりました。ゆうかんなあなたの冒険はぜんぶ読んで、きれいにとじて、何度でも読み返しています。はぐるま姫様がいらっしゃると聞いたので、お父さまにおねがいして、はじめて幻想のダンスパーティーに連れていってもらったとき、あなたの姿をこの目で見て、その美しさが心に焼きついたような気持ちになりました。その時のぼくは勇気がなくて、言うことも会うこともできませんでしたがパーティーのときに見たあなたのダンスや美しい声が、海へ帰ってからもずっと、心からはなれないのです。ぼくがもっともっと大きくなって、船をあやつれるようになったら、いつかあなたを、海をこえて、きらきら光る宝石でかざった、しんじゅ貝の船で迎えに行きます。そうしたら、どうか、ぼくのお姫さまになってください。あなたのことが大好きです。どうかこのお手紙が、いとしいあなたにとどきますように。 ユースチス・アーサー・ホーキンス →詳細検索 キーワード キャラクターID 検索する 【唇に蜜】 カタリヤ・8・梔 (p3p000185) [2019-01-20 00:43:50] (小さな音に、ピクリと耳が動く)(くちづけは、何故か、懐かしい感触がした。) キャラクターを選択してください。 « first ‹ prev 1 next › last » 戻る
「宝島卿」ホーキンス家からの招きを受けた私を待っていたのは
確かに「宝」、ではあった。
海洋らしい日に焼けた肌。はちきれんばかりのまんまる坊やが頬を真っ赤にして、
その後ろには「がんばれ坊ちゃま」「勇気を出して」なんて応援団、もとい侍従たちが勢揃い。
震える手で手紙が差し出されれば割れんばかりの拍手、喝采。
……ははぁん。
なるほど。
膝を折り、頭を垂れて
「畏まりました、王子様。
この命、必ずや私めが」
――――酷い笑い顔を隠すのに、心底苦労した。
====================
はじめまして。
いとしのはぐるま姫様へ、この手紙をささげます。
ぼくはユースチス・アーサー・ホーキンスといいます。今年で10になりました。
ゆうかんなあなたの冒険はぜんぶ読んで、きれいにとじて、何度でも読み返しています。
はぐるま姫様がいらっしゃると聞いたので、お父さまにおねがいして、はじめて幻想のダンスパーティーに連れていってもらったとき、
あなたの姿をこの目で見て、その美しさが心に焼きついたような気持ちになりました。
その時のぼくは勇気がなくて、言うことも会うこともできませんでしたが
パーティーのときに見たあなたのダンスや美しい声が、海へ帰ってからもずっと、心からはなれないのです。
ぼくがもっともっと大きくなって、船をあやつれるようになったら、
いつかあなたを、海をこえて、きらきら光る宝石でかざった、しんじゅ貝の船で迎えに行きます。
そうしたら、どうか、ぼくのお姫さまになってください。
あなたのことが大好きです。
どうかこのお手紙が、いとしいあなたにとどきますように。
ユースチス・アーサー・ホーキンス