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梔色特別編纂室
……そうね。今度一緒にお酒を飲むとき、お願いしてみようかしら。
(恥ずかしいこと、という認識もないためなのでしょう)
(すんなりと承諾するお姫様なのでした。)
わたし、だから。
(それは……カタリヤが言ってくれた、すっかり人間なのだということにも、似た響き)
(お人形として愛されるのは、もともと、本望であるはずなのですけれど。)
……そう。そうなの。
なんだか、わたし。……そっちの方が、嬉しい気がするわ。
(きり、きり、きり。また胸の奥の歯車が、新しい音を立てたようでした。)
(そういえばこの文面、どこにだって、「お人形」としての彼女のことは紡がれてなくて)
(本当に、人間のお姫様に送るかのようで)
(ああ、この子は本当に、自分をただのお姫様として見てくれていたのだと。)
……この気持ちも、きちんとお手紙に込めるべきね。
(恥ずかしいこと、という認識もないためなのでしょう)
(すんなりと承諾するお姫様なのでした。)
わたし、だから。
(それは……カタリヤが言ってくれた、すっかり人間なのだということにも、似た響き)
(お人形として愛されるのは、もともと、本望であるはずなのですけれど。)
……そう。そうなの。
なんだか、わたし。……そっちの方が、嬉しい気がするわ。
(きり、きり、きり。また胸の奥の歯車が、新しい音を立てたようでした。)
(そういえばこの文面、どこにだって、「お人形」としての彼女のことは紡がれてなくて)
(本当に、人間のお姫様に送るかのようで)
(ああ、この子は本当に、自分をただのお姫様として見てくれていたのだと。)
……この気持ちも、きちんとお手紙に込めるべきね。
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「宝島卿」ホーキンス家からの招きを受けた私を待っていたのは
確かに「宝」、ではあった。
海洋らしい日に焼けた肌。はちきれんばかりのまんまる坊やが頬を真っ赤にして、
その後ろには「がんばれ坊ちゃま」「勇気を出して」なんて応援団、もとい侍従たちが勢揃い。
震える手で手紙が差し出されれば割れんばかりの拍手、喝采。
……ははぁん。
なるほど。
膝を折り、頭を垂れて
「畏まりました、王子様。
この命、必ずや私めが」
――――酷い笑い顔を隠すのに、心底苦労した。
====================
はじめまして。
いとしのはぐるま姫様へ、この手紙をささげます。
ぼくはユースチス・アーサー・ホーキンスといいます。今年で10になりました。
ゆうかんなあなたの冒険はぜんぶ読んで、きれいにとじて、何度でも読み返しています。
はぐるま姫様がいらっしゃると聞いたので、お父さまにおねがいして、はじめて幻想のダンスパーティーに連れていってもらったとき、
あなたの姿をこの目で見て、その美しさが心に焼きついたような気持ちになりました。
その時のぼくは勇気がなくて、言うことも会うこともできませんでしたが
パーティーのときに見たあなたのダンスや美しい声が、海へ帰ってからもずっと、心からはなれないのです。
ぼくがもっともっと大きくなって、船をあやつれるようになったら、
いつかあなたを、海をこえて、きらきら光る宝石でかざった、しんじゅ貝の船で迎えに行きます。
そうしたら、どうか、ぼくのお姫さまになってください。
あなたのことが大好きです。
どうかこのお手紙が、いとしいあなたにとどきますように。
ユースチス・アーサー・ホーキンス