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梔色特別編纂室

【1:1】ちいさな姫と、古い写真と、猫の話

昼を少し回った時刻。
来客の予定があったから、無警戒に扉を開けてしまった。
配達人の差し出す荷物、その宛名に顔を顰めて、
しかし。
受け取らないわけにも、いかなかった。


――――愛弟子、カタリヤ・9・梔へ
君の私物がまだ幾つか残っていたので、送らせて貰う。

僕の名をあちこちで使うのは構わないが
偶には顔を見せてくれないか。
家内も君を恋しがっている。

くれぐれも、無茶はしないように。
君の活躍を波の彼方より祈っている。
――――アキレウス・B・アーケロン


テーブルの上には解かれた荷物と開かれた手紙。
それを片付ける間も無く、二度目のベルが鳴った。

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(ふ、と息を吐いて)そんな目で見なくっても、怒ったりしないわよ。
(見えやすいように、包みをきちんと解いて。古い木の額縁を含めて、全体が露わになる。素朴な木の家を背景に、農夫なりのおめかしをして並ぶ3人。)
(額縁の端に、名前を見つける。ヨールク・5・梔。アニエ・4・梔。……そして。)

そうよ。縦に大きいのが、私の父。横に大きいのが、私の母。
で、こっちが、私。
(とん、とん、と指先でつついて)
……この間の貴方にちょっと似てる、って意味、わかった?
(持っていた封筒から写真を引き出して、その隣に並べた。「お嬢さん」は、今や彼女よりも小さな姿で、屈託なく笑っていた。)

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