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梔色特別編纂室

【1:1】ちいさな姫と、灰色の冠の話

遠い異国・《深緑》から特異運命座標に伝えられた御伽話は
更に彼らの回りの耳聡い者たちに伝わり
そして、それを利用したい者たちの耳へと。

……勿論私は、火種を撒く側にいるのだけれど。

とりあえず今は、冠型のチョコレートが流行っている、らしい。
《幻想》に名高き菓子店を回っていくつか買い求め、
ついでに、小さな姫も拾って
事務所に戻った、お茶の時間の一幕。

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ええ。とてもよく喋る鳥さんよ。
その鳥さんが操っているゾンビのお姉さんに、わたし、たまにお裁縫を教わっているわ。
(素っ頓狂な文脈ですが、なにひとつ嘘を言っていないのも、やはり混沌が混沌たる所以です。)
お金を払って、驚いたり、怖がったりしにいくの。
……怖い、は「苦しい」ではないの? なんだか、それって、へんだわ。

オサシミ。
(聞きなれない単語には、ぱちくりとアメジストの瞳が瞬きました。)
はじめて聞く響きだわ。

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