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梔色特別編纂室

【1:1】ちいさな姫と、灰色の冠の話

遠い異国・《深緑》から特異運命座標に伝えられた御伽話は
更に彼らの回りの耳聡い者たちに伝わり
そして、それを利用したい者たちの耳へと。

……勿論私は、火種を撒く側にいるのだけれど。

とりあえず今は、冠型のチョコレートが流行っている、らしい。
《幻想》に名高き菓子店を回っていくつか買い求め、
ついでに、小さな姫も拾って
事務所に戻った、お茶の時間の一幕。

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もちろんよ。カタリヤには、とってもお世話になっているもの。
だから今日、カタリヤの好きなお味も知れたら、嬉しいわね。
(実際、チョコレートの一かじりに含まれたお酒の量も、お姫様の体格からすればそれなりで。)
そうね。なんだかへんな気分になってしまうから。
きっとこのチョコレートは、わたしにはよくないのだわ。

(咳払い混じりの問いかけにも、やはり、無垢な笑みを浮かべて)
ええ。火花を出したり。
魔力の塊を飛ばしたり。そういう、簡単なものだけれど。
(簡単、ではあれど。盗賊と渡り合える程度の威力は、あった魔法です。)
盗賊の首謀者のひとも、悪いひとではなかったみたいで。
二人ぐらいは、追い払うことになったの。
(ああ、きっとカタリヤは心配してくれているのね、と。解釈は少しばかり、歪んでおりました。)

でも、大丈夫。
他は、ちゃんと「やっつけた」わ。

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