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梔色特別編纂室

【1:1】ちいさな姫と、灰色の冠の話

遠い異国・《深緑》から特異運命座標に伝えられた御伽話は
更に彼らの回りの耳聡い者たちに伝わり
そして、それを利用したい者たちの耳へと。

……勿論私は、火種を撒く側にいるのだけれど。

とりあえず今は、冠型のチョコレートが流行っている、らしい。
《幻想》に名高き菓子店を回っていくつか買い求め、
ついでに、小さな姫も拾って
事務所に戻った、お茶の時間の一幕。

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(見知った仲ながら、実際に事務所を訪れるのは初めてで)
(ソファの手すりから顔を出しながら、物珍しげに事務所内を観察していたお姫様は、呼ばれると共に、きりりと音を立てて振り返りました。)
味見。
カタリヤ、お料理をするの。
わたし、あまりいろんなものを食べ慣れていないから。お役に立てるかしら。
(味見というのは、おおむね料理の過程でするもの……という知識が、お姫様には植えつけられておりました)
(きりきり音を立てて、首をかしげます。)

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