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梔色特別編纂室

【1:1】ちいさな姫と、灰色の冠の話

遠い異国・《深緑》から特異運命座標に伝えられた御伽話は
更に彼らの回りの耳聡い者たちに伝わり
そして、それを利用したい者たちの耳へと。

……勿論私は、火種を撒く側にいるのだけれど。

とりあえず今は、冠型のチョコレートが流行っている、らしい。
《幻想》に名高き菓子店を回っていくつか買い求め、
ついでに、小さな姫も拾って
事務所に戻った、お茶の時間の一幕。

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(窓辺のデスク周りは書類の山で埋もれそう、壁に張ったロープには現像した写真が吊ってある。それでも、来客用の小さなソファとテーブルの前は若干マシだった。)
(低めのテーブルの上にはずらり、焦げ茶色の小さな冠が包みと一緒に綺麗に並ぶ。)
……写真はこんなものでいいか。
(カメラを胸の前に降ろして、小さな姫を見下ろした。)
それでね、姫様。手伝って欲しいの。
……味見を。

(ちょっと胸焼けがしかけていた。)

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