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梔色特別編纂室

【1:1】ちいさな姫と、物言わぬものたちの話

宿屋街の一角。
ぽっかりと開けた小さな広場では、古びたガーゴイル像があたりを睥睨していた。

今はその隣に、蜜色の女がひとり。
苦虫を噛み潰したような顔をしている。

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夢。わたしにとって、それが、夢になるのかしら。
だってわたしがはぐるま王国の民を集わせるのは、姫として、当然の責務だもの。
(姫ならば王国に君臨せねばならない。民も集めねばならない)
(彼女にとっては、それは目標というより、最低限為すべきことのようでした。)

そう。そうね。
嬉しいことは分かち合う方がいいというのは、聞いたことがあるもの。
なら、悲しいことや苦しいことも、同じなのね。
何か新しく学んだら、わたし、すぐにカタリヤに教えにいくわ。
(カタリヤの腕の中、やはりまだ感情をまじえられぬ声音で、静かに告げました。)

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