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梔色特別編纂室

【1:1】ちいさな姫と、物言わぬものたちの話

宿屋街の一角。
ぽっかりと開けた小さな広場では、古びたガーゴイル像があたりを睥睨していた。

今はその隣に、蜜色の女がひとり。
苦虫を噛み潰したような顔をしている。

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おじいさんは、眠るようにして死んでしまったわ。
それからすぐにわたしがいのちを得て、二人とも別の世界へ行ってしまったから。
死んでしまったひとを、あまり、ちゃんと見たことはなかったのよ。

(問いかけられると、カタリヤへと歩み寄り、きりりと音を立てながらレリーフを覗き込みました。)
これは、だめね。
わたしも、なんとなくしかわからないのだけれど。
わたしがお話できるのは、だれかが人形や像として作ろうと思って、作ったものだけみたいだから。

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