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梔色特別編纂室

【1:1】ちいさな姫と、物言わぬものたちの話

宿屋街の一角。
ぽっかりと開けた小さな広場では、古びたガーゴイル像があたりを睥睨していた。

今はその隣に、蜜色の女がひとり。
苦虫を噛み潰したような顔をしている。

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(抱えたまま、ぎしぎしと軋む廊下を歩く。……この方が早いだろうし)
古びた……ね。薄汚れた、の方がぴったりしない?
(階段を上り、扉の並ぶ廊下を進む)

(重い木の扉に貼り付いた、金属のプレートを目でなぞり)
……。
(足を止めて、耳を澄ませる)
(音はしない)
(生き物の気配も。)

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