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梔色特別編纂室

【1:1】ちいさな姫と、物言わぬものたちの話

宿屋街の一角。
ぽっかりと開けた小さな広場では、古びたガーゴイル像があたりを睥睨していた。

今はその隣に、蜜色の女がひとり。
苦虫を噛み潰したような顔をしている。

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ええ。
ありがとう、ガーゴイルのあなた。
カタリヤからも、わたしからも、お礼を言わせてもらうわ。
(スカートの両裾をつまんで、いつものぎくしゃくした動きの礼を、傍から見ればもの言わぬ像へと向けてから)
ううん。少しの間だけよ。
能力を使いなおせば、また、お話ができるけれど。
(カタリヤの問いかけに、あるがままを答えてみせました。)
たぶん、これはわたしの「いのち」を、少しの間だけ他のみんなに分け与える力なのよ。

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