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梔色特別編纂室

【1:1】ちいさな姫と、物言わぬものたちの話

宿屋街の一角。
ぽっかりと開けた小さな広場では、古びたガーゴイル像があたりを睥睨していた。

今はその隣に、蜜色の女がひとり。
苦虫を噛み潰したような顔をしている。

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ねえ、ガーゴイルさん。
この近くの宿屋で、ひとの出入りがあった場所を、教えてちょうだい。
ええ、男のひとと、女のひとが…………

(ほとんど言われたままの内容を、おうむ返しのように、お姫様はガーゴイルの像へと語りかけて)
(カクリ、カクリ。何度かの首肯を重ねると)

カタリヤ、カタリヤ。
ほら、あそこの、鳥の絵が看板に描かれた、綺麗な建物。
この何時間かで、カタリヤの言うようなひとが出入りしたのは、あそこだけだそうよ。

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