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梔色特別編纂室

【1:1】ちいさな姫と、物言わぬものたちの話

宿屋街の一角。
ぽっかりと開けた小さな広場では、古びたガーゴイル像があたりを睥睨していた。

今はその隣に、蜜色の女がひとり。
苦虫を噛み潰したような顔をしている。

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……あら、見られちゃってたの。
そう、私は……今、仕事中なんだけど。
ちょっと残念なことがあってね……
(苦笑いを浮かべて、屈んだまま周りを見回す。)
(宿は夜から賑わうもので、日中の人通りは然程多くない。広場を取り囲むのはたくさんの静かな暗い窓で、背後のガーゴイル像はそれを不機嫌そうに睨み付けている)

……ね、姫様。
(苦笑いから更に、にぃ、と唇を吊り上げて)
姫様の助けがあれば、とっても助かるのだけれど、私。

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