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ギルドスレッド

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現在地と地平線

地平線はまだ見ぬ眼下へ

青年の瞳が真っ先にとらえたのは、木のテーブルでランプの灯りを見つめる小汚い男の姿だった。
真っ暗な室内で、それとわかるのがそこしかなかったからだ。
青年が戸惑ってじっとしていると、やがて男は前のめりに傾きはじめ、頬を押しつける形なるまで傾き、ランプの壜を丁重に持ち上げて、僅かにできた隙間から灯りを覗き込んだ。
灯りは男の鼻先から眼光を照らした。皺の寄った瞼から、妙に長い睫毛が並んで生えて、まるで灯りを嫌っているかのように反り返っている。
青年はそれ以上男を見るのをやめた。不安な気持ちがとめどなく湧きたち、勇気をおいておくだけの余裕を、小さな心から、いとも容易く押し流した。
店内に立ち込める異様な息遣いが、視線のかわりに青年の行動を監視していた。無数の息遣いが絶え間なく続き、鼻を啜る音で途切れ、また別の息遣いに繋がっていく。正体は暗闇に隠れ、すべて男のものであることだけが確かだった。そのすべてが、青年の呼吸を拒否していた。
なにより、その場で空気を吸ってはくことが苦しかった。息が詰まった。まだこの場で一度も呼吸ができていないに違いなかった。
気付いた時には自然と片腕が首筋を這っていて、自分で自分の首をまさぐり、脳にまったく感触がいかないことに怯え、ただ怯え、まさぐる動きがましていって、ふいに親指が喉仏に引っかかった。痛みだけが走った。
奥歯のそばから苦い味のつばが溢れてきたのを感じ、不快感と苦味がまたたくまに吐き気へと繋がった。堪えようと身をかがめて、何かから逃げようと身をよじると、テーブルの上でランプの灯りを眺めていた男と目があった。
男はそろりと表情を変えた。舌と歯がみえるほど口をあけてからゆっくりとすぼめていき、細く束ねられた息をランプの灯りに吹きかけた。
そして青年は、何者かによって外に押し出されていた。

ヤズィードがやむなく力を込めたせいで、勢いのまま青年は肩口を壁にぶつけ、ネジを締めるような鈍い叫び声をあげた。しかしそれは同時に、呼吸がかなったというあらわれでもあり、仰向けに倒れながら青年は、正体のしれない安堵感がじわじわと広がっていくのを感じ、やがてぜえぜえと喘ぎ始めた。
「もう二度と潜り込むなよ」こたえるだけの力が回復していないことを承知で、ヤズィードは続けた。「悪い奴らじゃないんだが、一見さんはお断りだかんな」
息切れも動悸も混ざり合ったまま、身体のどこかに残された活力と今いる空気中
酸素をなんとか結びつけようとした。何よりもまず言葉を発したかった。
それから何度か同じような叫び声をあげ、なんとか首を持ち上げようと試みるところまできた。
ヤズィードは青年の腕から脇にかけてを掴み、近くの段差まで引っ張って座らせることに成功した。息は変わらず上下していたが、勢いをなくして弱々しくなり、かわりにあやふやだった視線の移ろいは安定して、自分を助け起こした男の奇妙なレンズの眼を不思議そうに見つめていた。そこには、先ほどまでの不安と恐怖はなかった。
「ありがとうございます」もう何年も言葉を失っていたかのように思えた。喉がひりひりして、無理やり引き剥がされたことで極度の渇きに気づいたが、そんなことは今重大ではない。「本当にありがとうございます」
「あいつらは他者(よそもの)に慣れていないし、好奇心がありすぎる。なんであんな所に潜ったんだ」
青年はゆっくりと首をひねって、ついさっき──永遠とも思えるほど前に強い決心のもと足を踏み入れた、小さな丸い木の扉を見つめた。
「案内人がいるはずなんです」もう完璧に言葉を取り戻した。ただか細いだけで、それは確かに言葉だった。その途端、なぜやり方を失っていたのか、本当についさっきまでやり方を損失していたのかにも自信がもてなくなってくる。
「案内人?」ヤズィードが聞いた。
「暗道を通らないと、夏の丘にいけないんです」







・ヤズィードが青年を連れて旅をしています。
・どうやら、夏の丘という場所へ向かっているようです。
・出会ったり別れたりしたらいいじゃない。

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行きゃあわかるさ。途中ちょっとヒカリダケ拾ってくからよ、注意しといてくれな(ダイスで50以下がでるとヒカリダケというキノコを拾います)。

この兄ちゃん、夏の丘に行きたいんだと。俺も一度行ったことがあるだけなんだが、金もらっちゃったからな。……箱入りには見えんが、アレか、女と話すと友達に村八分に(ごにょごにょごにょ)あ、違う。はい。
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