（月のきれいな夜だった。酒場の表に腰かけては、月見で一杯やりたくなるほどに。…まぁ、持っているのはジュースなんだけれど。）

おっと、一人で月見酒か、シキ。
……ってお前未成年だったか。中身はなんだ？
（にゅっと物陰から顔を出したおっさんが無遠慮に覗き込もうとする）

やぁ、シレオ。良い夜だねぇ。
中身？ざぁんねん、ジュースだよ、ただの。
シレオも何か飲むかい？
（覗き込む彼に笑ってコップの中身を見せて）

ほほう、オレンジジュースなら飲まんでもないぞ。
（完全に貰う姿勢）
確かに、今日は見事な月夜だぜ。つい散歩に出ちまった。
シキは何してたんだ？

オレンジジュースが好きなの？なんだか意外だなぁ
（一旦奥に引っ込めば、すぐに戻ってきて。その手にはグラスとオレンジジュースの入った瓶）
はい、グラスは使うかな？見事な月だから、一杯月見に付き合っておくれ
私かい？いやなに、夜風にあたっていただけさ

舌が子供なのよ。お前相手に取り繕う事も無かろうと思ってな。
おう。グラス使うぜ。俺にもお酌させてくれよ。
月夜の晩に夜風に当たって月見酒…ならぬ月見ジュースか。風流だねぇ。

あはは、じゃあ今度はカレーライスでも作っておくかねぇ
いやはや、君のような美人にお酌してもらえるとは嬉しいな
（自分のグラスを飲み干して空にして）
情緒とやらは難しいけれど、こういう時間は悪くないと思うね

カレーは好きだぜ、うん。
（ちょっと目が泳ぐ。好きは好きだが、旗を立てたくなる性分を少し恥じ入る気持ちもあり）

おっとぉ、こんなおっさんを美人とな。イケメンとかの方が嬉しいが…ま、褒め言葉と受け取っておこう。
シキは人垂らしの気があるなぁ。ほい、お酌お酌～。
（シキのグラスにオレンジジュースの瓶を傾ける）

俺も情緒を完全に理解してるとは言い難いが、月には格別な思い入れがあるからなぁ。
そういうものは大事にしたいよな。

おや？（目が泳ぐ相手に、ほんの少しだけ首を傾げて見せた）

いやいや、シレオは美人さんだろう。とても綺麗な御仁だよ。
ふふ、シレオは私に誑し込まれてくれるのかい？
（ありがと、と微笑んでオレンジジュースを注いでもらう）

ほう？格別な思い入れか。誰にしもそういうのはあるよね。
シレオの大事にしたいものなら、私も大事に愛でるとしよう。

い、いや、気にするな。ハハハ（誤魔化すのが下手）。

男はな、カッコイイとかの方が嬉しいんだぜ……ま、ありがとな。
綺麗って言えばシキのその眼に勝るもんもなかなかないだろうぜ。

おう、大事に愛でてくれや。
そういやぁ、シキにとって思い入れのあるものってなんかあるのか？

しかし、なんだな……シキの方が年上に感じる時があるんだが……貫禄？　俺に足りないのは貫禄？