PandoraPartyProject

ギルドスレッド

キャリー喫茶店

【個別RP】白い花と会わせて下さい

▼某日。ラストオーダーの時間も過ぎて、客もあらかた退店した後。
 その日は珍しく、人形のニアライトだけが客席にまだ残っていた。

※パーセル・ポストマンとニアライト=オートドール=エクステンションの個別スレッド。

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(トレイを持ってあらかた退店した客たちの席から片付けを済ませた後、ニアライトの席へと向かう)
……珍しいじゃねえか、アンタが一人で店に残るなんざ。
(どうしたんだ、と言外に聞きながら。その表情をうかがい見る)
(椅子に置かれた人形は普段の笑顔を消し、回顧にも後悔にも似た表情で手の中の押し花を眺めていた)
(パーセルに気付くと、薄い笑みを浮かべたまま)
…なに、少し頼み…いや、お願いしたい事があって…な。
待たせてもらっていた。
(従僕人形は店の隅に静かにたっている。)
(探るような訝しげな表情から一転、表情が新妙なものになる)
……コーヒー、もう一杯いるか?
(話は長くなるんだろう? そう確認するように問い掛けを投げる)
夜は長いが、眠くなる。眠気覚ましに一杯どうだ。
…あぁ、頂けるであろうか。
(その表情はいつもの薄ら笑いに戻り、懐から薄い木箱を取り出した。)
願いと言うのは、そう大そうなものではないが…、
先日に、ちょっとした依頼に行っていたのだが…そこで不思議な事があってな?
…感傷という物なのであろうが…、吾が持ったままよりも、此処の方が良いと思うので、な?
(そう言って木箱を開ける。そこには一輪のコルチカムの押し花が入っていた。)
…まぁ、急に花を出されても困るであろうし…、少し、話を聞いてもらえるであろう…かな?
(どことなく、懺悔をする教徒の様に)
(自分用のマグに一杯。そしてニアライト専用の小さなカップに一杯。それぞれの手に持って、ニアライトの対面の席に腰掛ける)
大事そうになんか持ってると思ったら、押し花か。
(特に迷惑がるでもなく、訝しがるでもなく、ただ受け止めるようにそれを見る)
ああ、聞かせてくれ。ゆっくりとな。
(ニアライトの前にカップを置くと、カップの中のコーヒーは僅かに波紋を広げてから、すぐに清聴するかのように凪いだ)
(小さなコーヒーカップを手に取り、一口飲む。ほぅ、とため息の形をとる)
…さて、何から話したら良い物か…。
吾がここでは無い人のいなくなった世界から来た事は話した事はあると思うが…、
(どことなく誇らしげに)
吾はまだ人が多くいた時代から稼働していたのでな、それなりに多くの主人に仕えてきていたわけであるが…。
(苦笑に変わり)
…その分、人の世の末を見続ける事になってしまったわけであるかな。
億の人が万になり千になり百になり…、人形が自己矛盾を犯して対処してすらも、人は大きく増える事は無く…だ。

吾が最後に仕えた…主人は、”最後の人間”だった。
(珈琲を一口のみ、誰かの姿を思い出すように)
…吾も忘れて…いや、思い出そうとしていなかったのであろうな。
…なぁ、マスターよ。そなたには心残り、という物はあるであろうか?
緩やかに衰退する世界、か……。
(老人ばかりになってしまった限界集落や、男ばかり、女ばかりの集落、それにというものにも運びの仕事で足を運んだことがあった。静かで、平和的で――けれど、どこか寂しい場所だった)
(そんな世界の中でもこの人形は生き続け、人間に仕え続けて来たのだろう。いつも茶会で馬鹿騒ぎするでもなく、一線を引いたような場所で人々を見守るのは、きっとそういう出自だからなのかもしれない)
……心残りな。
まだ四半世紀も生きてねえもんでな。ニアライトの嬢ちゃんの言うようなもんはねえかもしれねえけど……強いて言うなら、そうだな。
親代わりのやつにまだ親孝行ってやつをしてやれてねえのと、姉貴分にまだ色々と恩返しがしきれてねえってとこだな。
でも二人はまだ生きてるから、こりゃまだまだ先のある話だ。
だが、あんたのは違うんだろう? とっくのとうに終わっちまって、後になってから後悔するような口振りに聞こえるぜ。
…あぁ、その通り、後悔、思い残し、どうしようもないという諦観。
…は、吾がただの人形であれば、忘却の彼方に追いやられるような事であったが…。
どうも、吾はそうではなくなってしまったらしい、な?
(手元の押し花を小さな掌で撫で)
その様な…心とでもいえばよいのであろうか、それをこれは形にされてしまった…ということかな?
この花はコルチカムというらしいが…、実際には『ノモグロファの黄昏』と呼ばれる物らしい。
なんでも、取り込んだ者の過去の課題を再現し、解決できない者を取り込む類らしかったが…。
(笑みを浮かべて)
そこで出会ったのが、吾の…いや、吾等全ての”最後の主”。
吾等は彼の願いをある一つ以外、その生が終わるまで叶えていたと信じている。
そこで、この『ノモグロファの黄昏』だ。
…そう、吾等が唯一叶えられなかった、主人の願い。それが突き付けられた。
(小さな両手で木箱を持ち上げ)
…吾は、主人を、こちらに連れてきた。
それは吾が見た幻覚かもしれないし、この花もただの押し花かもしれない。
…だが、吾はそう信じたいのだ。これが吾の主人とつながっている…と、
(クスクスと笑い)
人形の身で信仰とは可笑しな話であろうが、な?
(知人の芸術家から買った花立を取り出し)
…うむ、これなら主人も喜んでくれるであろうな。
……アンタは解決できたのかい。
(なら良かった、と安堵の吐息に混ぜて口に出し、スティーブンが作ったのであろう花立を見下ろす)
自分以外の人に会う時は一輪の花越しに……。因果な話だな。一言ぐらい、人間の身体で話せりゃ良かったんだが。
(常には無関心そうに向けられるその目は、どことなくうっすらと憐れみのようなものが混じっていた)
こう、無事であったのであるから…解決できたのであろうな。
…そうであればまるでお伽話の様なものであろうが…。
あぁ、花が話すという事もこちらでは不思議ではない話であったなぁ…。
『如何でしょうか?ご主人様?』
(声が返る事はきっと無い)
……こほん、ま、時間は永い吾であることだし、そんな夢も良いやもしれぬな。
あるいは「植物と会話するギフト」なんてものを持ったヤツが出てくるかもしれねえしな。
(温かなコーヒーを一口含む。苦味と酸味の中には芳醇な香りが含まれていた)
それで? ただちょっとした転機を迎えて、花を手に入れたからご報告……ってツラでもなさそうだよな。
(まだ何かあるんだろう? と自分の身体と比較すればあまりにも小さな人形を見る)
確かにそうであるな。人形や、動物などもいると聞く事であるからな。
…あぁ、最初に戻るが…頼みではなく、吾の願いになるが…。
(一口珈琲を啜る。ほぅ、と息をつき、パーセルを見る)
この花を店に飾ってもらえぬか?
人形しか知らぬ吾の最後の主の願い。吾一人では決して叶える事は出来ぬ話であるのでな?
…夢か現か知らぬが、自身ありげに連れ出して、寂しい思いはさせられないから…な。
(じっと、水晶の造眼がパーセルを見つめる)
そういうことなら喜んで、だ。アンタの主人も満足してくれるだろうさ。なんせここは人が多くて賑やかなもんでな。
(ま、人じゃねえやつも騒いでることがあるけどよ、と冗談めかして肩を竦める)
どこに飾りたい? 人の近いカウンターか? それとも人を一望できる入り口か?
何処か…、
(珈琲を啜り、一拍考え)
そうであるな、店内を一望できるような…入り口辺りがよいであろうかな?
(冗談めかした声色で)
カウンターに置かれれば、ずっと吾が前に居座ってしまいそうであるしな。
飾らせてもらってい良い場所があれば、教えてもらえぬかな?
(理由を聞いて、噴き出すように笑う)
閉店時間過ぎてまで居座られちゃ敵わねえからな。ああ、わかったさ。
それなら扉の真上が良い。手伝いは必要かい?
(立ち上がり、カウンター裏などから画鋲などの設置に必要なものを用意しに行きながら、ニアライトに言葉を向ける)
…心配は無用であるかな?吾には彼奴がいるわけであるし、それに、吾の役割であるからな。
分かっていたであろうに、気遣い感謝する。
(店の隅に佇んでいた執事人形がパーセルに一礼すると、ニアライトを抱え上げる。そのままニアライトは執事人形の頭付近までよじ登る)
…うむ、これなら十分であろう。あ…うむ、良ければ吾に下からその留める道具を渡してはもらえぬかな…?
(執事人形に花立てを持たせてため、手が届かない)
そういうことなら任せるさ。……アンタのご主人様なんだ、綺麗に飾ってやれよ。
(言いながら、ほらよ、と道具をニアライトに渡す)
それは勿論であるぞ。かつては主の朝の着替えから夜の寝間着まで面倒を見ていたのであるからな。
(そう言いつつ、道具を受け取り、執事人形の上で視点を変えつつ良い位置を探している)
…ここが良いか…いや、ここだと小さな者たちが死角になる…、となるとこちらであるか…?
いっそ、外も見えるように…うむ、ここは良いかもしれぬ、主は目立たぬが…
(テラスの方も見える位置を見つける、下からだと花立自体は目立たないであろう)
…うむ、この様な感じで…どうであるかな?
(仮置きした後、眼下のパーセルに首を傾げ尋ねる)
ああ。花は目立たねえが、テラスまでよく見える良い位置だな。そこならアンタのご主人様も満足してくれるさ。
(いつもより、少しばかり優しい瞳で花を見て、そしてカウンターに戻っていく)
……それに何より、下から見上げた時にその花が目立たねえっていうのが一番良い。目立ってたんじゃ、アンタがずっとそっちを見っ放しになってただろうからな。
そうであるか、そちらから見ても大丈夫であるなら、安心であるかな?
(小さくうなずき、花立を本格的に固定し始める)
(固定作業をしながら)
ふふ…、確かにこの店にきて何もせずに上を見上げてばかりではそちらも商売どころではないであろうしな?…うむ、こんな所であろうかな?
(従僕人形に半ば肩車に近い姿勢のまま、その場を離れる)
…久方ぶりのこの手の作業であったが…問題は無いようであるな。
上出来だ。これなら扉を開いた瞬間に花立が落ちてくるなんてこともねえだろ。花、数日置きに水は入れ替えてやらねえとな。
(見上げて、満足げに頷く)
……で、ニアライトの嬢ちゃんはこれからどうするんだい? 前のご主人様はここにいることになったわけだが。次のご主人様でも探すのか?
(執事人形の腕の中、いつもの定位置に戻り、花を見上げ)
いいや、今は考えはおらんかな?…こちらは色々と問題事が賑やかな事であるし、
…何時朽ちるか最早分からぬ身であるからな、ゆっくりと世界を見て回りつつ、人の助けかな。
もしかするとその内、そうなる相手に出会うかもしれんし、な。
(クスリと笑って)
…今日は、本当に助かった。感謝を、だ。
(お安い御用だ、と口元にうっすらと笑みを浮かべながら返す)
そうか。ま、アンタも俺たちカオスシードやらに比べりゃまだまだ老い先長えだろ。こうして喫茶店まで来てコーヒー飲んでられる内は少なくとも、な。
ま、次の生き方ってのが早い内に見つかると良いな。
(へっ、と笑って、空になっているであろうニアライトのカップを片付ける)
さて、いつもより遅くなっちまったが、ちゃんと帰れるな?
なに、吾には彼奴もいるわけであるしな?
(己を抱える従僕人形を優しく撫で)
遅くまで突き合わせてしまったかな。…また、店をやっている時に寄させてもらおう。
(ニアライトを抱えた従僕人形は恭しくパーセルに一礼をすると、出口に向かい歩いてゆく。抱えられたニアライトはその向こうからヒラヒラと手を振る)
では、おやすみなさい、だ。
(そう告げて、店の扉を開けて、視線を上にあげ、微笑むと、店を去ってゆく)
ああ。また来な。……アンタのご主人様にツラ見せてやってくれ。
(退店していくニアライトの姿が見えなくなるまで見送って、扉を閉める)
……いつもアンタの嬢ちゃんには世話になってるぜ。これからよろしくな。
(白い花を見上げてそう言い残すと、バックヤードへと向かうのだった)

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