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ギルドスレッド

キャリー喫茶店

【1:1】衣装の間

▼ある日のこと。君は喫茶店に訪れた。
 からんからんとドアベルを鳴らしながら扉を開けると――そこは喫茶店ではなく、種々様々な衣装が打ち掛けられ、吊るされた衣装室とでも言うべき部屋だった。

※キティホスト、来訪者がゲストの個室型1:1RP場。
 基本低速。区切りが良くなったらメッセージでご連絡します。

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やあ、マスター。また寄らせて頂いた……よ……?
(扉を開いて足を踏み入れた途端、普段と違う店の装いにきょとん、と目を大きく見開き)
……これらは、衣装? 喫茶店というより、まるで洋装店じゃないか。
(店内をぐるりと見渡し、吊るされた衣装へとそっと近づく。
 一着一着を見つめるたび、淡い青の瞳は輝きを増してゆく)
…………。
(ごくり、と唾を呑んでは、水晶の爪きらめく真っ白な手を伸ばす。
 その先には、フリルやリボンがあしらわれた少女趣味全開の愛らしい衣装が――)
(ハンガーラックの間をぬらりと影が動いた)
おや、おや。その衣装がお気に召しんしたえ?
(音もなく、呪の後ろから衣装を覗き見る少女が現れた)
随分とまあ、童女のような衣装をお好みでござりんすなあ。
――!
(突如、背後から投げかけられた声に若干肩を震わせ、振り返り)
あ、ああ。此処に飾られたどの衣装にも目移りしてしまったのだけれどね。
特にフリルやレェスや……繊細な造りの衣装は技術を要す。だから尚更見惚れてしまったのだよ。
(まるで言い訳するかのように早口で語ったのち、コホンと咳払い)

処で……これらの衣装はキミが? マスターのお知り合いなのだろうか。
(語る呪の姿がおかしかったのか、あるいは言い訳の裏を見透かしたかのようにくすくすと少女は笑う)
これはこれは、好かねえことを。嬢さんは技術の方に見惚れておりんしたか。てっきりわっちは、嬢さんの好みが童女のそれかとばかり……。
歳を食うほど人はわらべの頃に戻りたいと思うもの。嬢さんは強いお人でごぜんすなあ。
(くるりと踊るようなステップで、呪の後ろから横へと移動する。少女の首に付けた鈴が、からんと乾いた音を立てた)
ここの衣装は借り物や預かり物を除けばぜぇんぶわっちのものでござりんす。
マスター、と言うと、パーセルの坊の客人でおっしんすえ?
……強い。僕がかい?
(不思議そうに瞬きを数度。自分の少女時代を思い返しながらも、常の取り澄ましたような面差しに戻り)
そうだな……嘗て生きた世界や少女だった日に縋るより、今は新しい生を楽しみたくはあるね。
でもその、この衣装は――、
(改めて手にした衣装を愛しさ込めて眺めては)
…………うん。確かに夢見がちな女の子ならば、憧れるものだと想うよ。
(傍らへ移動した彼女と向かい合い)
こんなにも数多くの衣装、よく集めたね。びっくりしたよ。
僕は祝 呪という。ああ、この喫茶店には最近よく寄らせて頂いているよ。
宜しければキミの名も、教えて頂いてもかまわないだろうか。
わっちはキティ。ただの「キティ(仔猫)」でござりんす。以後、お見知り置きくりゃんせ。
(短いプリーツスカートを軽く摘み上げる彼女のカーテシーは、外見に反して堂に入った所作だ)
呪のお嬢は喫茶に行こうとして、偶然こっちに迷い込みんしたえ?
最近になって歪みが大きくなったものとおっしんしたけれども、たまさか本当にお越しになられる方がいるとは。坊みたくおいしいコーヒーは出しんせんけど、お茶の1つぐらいはお出しんしょう。
(ぱん、ぱん、と手を叩くと、彼女の影が蠢いて、どこへともなく伸びて行く)
さて、さて、久方ぶりのお客人。まずは――――そう。ぬしさま、「徒人(ただびと)」にあらず、「徒人(いたずらびと)」でござりんしょう?
ただの、キティ――キティくん、だね。
ああ、どうぞよしなに。
(カーテシーに応じ、自分もまた楚々とした所作でお辞儀をひとつ)
そうだね……たまたま偶然さ。
混沌としたこの世界に突然迷い込んだ身の上として、この喫茶店は心休まる居場所だよ。
――……?
(伸びていく影を目で追う。呆気に取られながらも、投げかけられた問いには参ったとばかりに両手をあげて)
……まったく、逢ったばかりだと云うのに驚かされてばかりだよ。
ご推察通り、僕はいたずらびと――即ち、醜い死人だね。
ただキミもまた、ただの『仔猫(キティ)』というには賢しすぎやしないかな?
(んふふ、と少し機嫌が良さそうに喉で笑ったのは喫茶店を褒められたからか、あるいは呪が降参するようにポーズを取ったからか、別のなにかかーー)
猫の鼻はよぅく効きんす。ぬしさまの匂いはわずかばかりに「誤魔化し」はありんすけれど、わっちは好ましゅうおっしんすえ?
(呪の視線に動じた様子となく。にこりとーーあるいは、にやりとーー笑い返す)
さて、さて。どうでありんしょうなあ。ここは混沌の世界。どんなものがいても不思議ではない世界。それならわっちのような仔猫がいても、不思議ではありんせんしょう?
(影の淹れる紅茶の匂いに満足気に目を細めて香りを楽しんだ後、ああ、と付け加えるように声を上げる)
でも、わっち悪戯好きの悪戯猫でござりんすけれど、残念ながらぬしさまと同じような徒猫(いたずらねこ)ではござりんせんなあ。
(ああやはり、敵いそうにない。小さく肩を竦めるも唇に笑みは湛えたまま。これもまた彼女のいう「誤魔化し」だろう)
僕は……ただ取り繕っているだけだよ。
腐りかけた顔を白粉で塗り固めて、臭いは香水で隠して。
好ましい――キミがそう言う理由が知りたいね。
(紅茶の香りに浸るように、ゆっくりとまばたきを一つ)
――ああ、確かにこの世界は常識も道理も通用などしなかったか。
まったく、驚かされてばかりだよ。まるで闇鍋状態だ。
(そうして彼女の言葉遊びには、愉快げに目を細めては)
ははは、そうかい。これ以上「徒(いたずら)」な輩が居ては――ああ、ちょっぴり残念かもしれないな。
そうだ、角砂糖はあるかい? 紅茶に一つ、沈めたい気分でね。
簡単なことでござりんす。
(言いながら、つい、と角砂糖の入ったツボを呪に寄越す)
美しくあろう、美しくしようと心掛けるその心こそが最も美しいもの。
ただそれだけのことでありんす。
まるで衣装に溢れた部屋のようなこの世界であっても、きっと美しくあろうとする心だけはどの世界でも一緒でありんしょうから。
でなければぬしさまも化粧を整え、着飾ろうなどとはおっしんせんしょう?
(なあ? と呪が手に取っていたフリルとレースで彩られたガーリッシュな衣装を見遣る)
――!
不思議だね……まるで、その、僕が……普通の、女の子のようだと、示しているような。
(見開かれた淡青の瞳から、仄かな揺らぎが浮かんだ。
 差し出されたツボから一つ、二つ、と角砂糖を取り出しカップに混ぜ込む)
ああ、どれだけ世界が数あれども、『美』の前ではみな等しく感動する。
その感情もまた平等だ――なんてね。
だから…………、(彼女につられ、ちら、と横目で先ほど手にとった衣装を見ては)
もし良ければ……一度、一度だけ……試着しても、かまわないだろうか。
ようやく素直になりんしたなあ。
(くすりと笑えば、首元の鈴も鳴る)
元よりわっちはそのつもり。この部屋に来て何も着ぬまま帰ろうなどと、もったいない話でござりんしょうえ?
!!(りん、と鳴る鈴の音と共に瞳が瞬いて)

………そう、そうかい? けれど外の街を歩くほどにはまだ自信は、ないかもしれないな……先ずは、試着してからだ。
では、その、良いだろうか。まだあの衣装に触れることすら緊張するのだが――(むむ、と唸りながら伸ばす、青水晶の指先。繊細なフリルを傷つけまいと慎重に触れようとしては、その愛らしい衣装にうっとりと目を細め)
ふふっ、くふふふっ……
まるで初めて恋を知った生娘のようでありんすなあ。服に興味がありながらも、その距離感を図り損ねていんす。
(ゆらり、と楽しげに尻尾を揺らして、人差し指を一本立てる)
――ひとつだけ、助言をするのであれば。「鈍すれば遠のく」。やりたいことをやっている自分を強く想像することで、勢い付けて成し遂げるのも肝要なことでござりんす。
生娘――? そ、そんな。(思わず上ずった声を漏らす)
鈍すれば遠のく……か。貴方はやはり利口な人だな。(ゆらゆら揺れる尻尾に惑わされ、参ったとばかりに肩を降らす)
それじゃあ一つ、試しに着させてもらうとするよ。
……嗚呼、この世界に来て自分も酔狂になったものだ。
(青水晶の指先がきらり、煌めく。その衣装を手にかけて、うっとりとそれを抱きしめた)
(衣装を抱き締める呪を見て、満足そうににんまりと笑う)
この世の生は夢のよう。なれば夢の中で酔うことも、また楽しみ方の一つでござりんす。
さあさ、試着はこちらで。次に来た時には、きっとぬしさまと出会うために生まれた服を共に探しんしょう。
(影がゆらめき、光が先導するように部屋の奥を示す。やがて衣装の間は、闇と影との見分けもつかないほどに、真っ暗となって)
(君はいつの間にかに衣装の間ではなく、喫茶店の前に立っていることに気付くだろう。その手に、一着の服を抱いたまま――)
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