ここは自由図書館……とは特に関係のない、豊穣モチーフのカフェ。

店主の性格を表すかのように、今日の此処も、とても静かだ。

※決まった方とのスレです。お約束のない方の書き込みはご遠慮ください。

ふう……やっと涼しうなったねぇ……。
（傘の下にある席にて、注文の品を待つ女。その視線の先の清流をみてほっこりしている）

(藍色の袖が風に拐われる。黒の袴が店の前で止まる)
おンや、こない所に豊穣みたいな茶店。
(看板のメニューを見つめていた)

（看板前で足を止めた人。珍しい客に興味を惹かれて）
……兄（あん）はん、お初にここに来はる方？
季節のお菓子と御抹茶がお手頃でええよぉ（ふわふわと、柔らかく声をかける）

(鈴を転がす声へ振り向き)
ええ、仕事帰りで。
(手に持った三味線をひょい、と見せて)
……ほんなら、それ頼もかなぁ。隣、ええですやろか？

あら、せやったん。お疲れはん。
お仕事上がりの一杯やったら、尚更美味しういただけると思うよぉ。
（はんなり、ふんわり、裏表のない声音が手招きした）

（その間に、注文を書き取っていた看板娘が頷き、奥へ消えていく）
うちもさっき頼んだばかりやさかい、だいたいおんなじ時間に来るんやないかにゃあ。

ありがとうございますなぁ。
三味線久しぶりじゃったけンど、楽しかったなぁ。
(失礼して、と隣へ。会釈ついでに自己紹介しよう)
ウチは形守恩、言います。元は芸者をしとりましたや
お姉さんは？

ま、芸者さんやったの。道理で綺麗なお顔してはるんねぇ。
（純朴な驚きとともに会釈を返し）

うちは狗尾草（えのごろくさ）み猫（ねこ）、言いますぅ。
こにゃいな形しとるけど、生まれは砂の国の方なんよぉ。
お姉さんやのうて、み猫でええよぉ。

くふふ、今は昔じゃけどなあ。

み猫さん云うやじゃえ、よろしゅうなぁ。
へえ、砂の国。ウチは最近になって外に出たから行けてない国ばかりじゃよ

せやったら、うちも恩の兄（にい）はんと似たようなもんかもねぇ。

空中庭園？ってとこにお呼ばれされるまでは……うちの男衆と違うて、お家からあんまり遠くには行かれんくて。
（少しだけ懐かしむような目をした）

あ、あれ。うちらのお茶とお菓子ちゃう？
（どうやら、今日のお菓子は栗きんとんらしい）

それはそれは、近い境遇じゃったようじゃ。
くふふ、はじめてお友達ができたようじゃ。
(ころころ、楽しげに笑い。持ってきた店員に会釈)
栗きんとん。季節じゃのぅ。

うふふ、そやにゃあ。
（同じく店員に笑いかけたあと、一層顔を綻ばせて）
ま、今日もえろう可愛らしい子が来なはったねぇ。
（茶巾絞りの形を目で愛でている）

そう言えば、恩の兄はんは、
（ちょっとだけ、恩の着ているものを改めて見て）
……豊穣……言うたっけ、そのあたりのお人？

自分で作ると、なかなかどうして大変じゃしなぁ。

よう分かりんしたなぁ。豊穣の芸者から神……イレギュラーズとなったんじゃよ
言うても今も豊穣で相棒と店手伝いながら暮らしとるんじゃけどね

そうなんやにゃあ……。
芸者から世界守るお手伝い〜なんて、仕事がえろう変わって大義やったやろねぇ。

うちの一族は商いの家でねぇ。
特に糸とか布とか、そういうのを扱っとったから……そのせいか、うちも人様のおべべがつい、気になってしもてねぇ。

まあ、そろばん弾くんは父様や兄様の仕事やったさかい、うちは細かい事はわからんのやけどねぇ（ごくごく小さく、きんとんの端を切り取った）

んー、でもイレギュラーズの方がウチは楽しいかなぁ。
いつでも世界中へ行けるンが楽しゅうて
(絞りのラインにそって切る)
へえ、商いの。ウチの知り合いに布やらなんやらを服にしとるお人おますなぁ

うちもそう思うわあ。
おもろいものもいっぱい見に行けるもんねぇ。

（そのまま小さいひとくちをあむ、っと）
ま、仕立て屋さん？
どんなの作ってはるんやろ。今度行ってみよかなあ（どことなくルンとした声色だ）

相棒にちょっとしたプレゼントをこっそり買うンにもええんじゃよな
(くす、と殊更柔らかい笑みを浮かべ一口)
…ん。ほっこりした甘さで美味しいなぁ

ファニアスさんはフリフリした服が多いみたいじゃけど、でもこな間はカッフェで着る用の民族衣装も作ってたのぅ

仕立て屋さんのファニアスさん、言わはるんねぇ。今度探してみよ。
（自分も続けざまにもう一口）

美味しいよねぇ。うちはこの時期、芋栗南瓜にほんみゃ弱なるんよぉ。
（抹茶にも口をつけた）

練達サヨナキドリにおますえ、ファニアスさんは。元気なお人じゃよ

旬のものは旬の内に食べたいしなぁ
豊穣はこの時期じゃと、魚もええんやが。

練達のサヨナキドリ……の、ファニアスはんやね（恩の言葉を繰り返す）よう覚えとかなねぇ。

お魚もええねぇ。
鮭さんをきのこと一緒に包んで焼いて、ねぇ……（その味を思い浮かべて、うふふと笑っている）

サバを生姜に煮付けても美味しいよなぁ
(こく、抹茶を一口)

まああきまへん、甘いもの食べてるのに涎が出てしまいそうやわあ（声が弾む。秋のものが恋しい口に更に栗きんとんをぱくり。）

そらいけませんなぁ、甘いのに戻しましょ

えへへ、せやね。
すんませーん、おはぎも今日あるかにゃあ？
（店員は笑顔で頷く。兄さんはどないする？とみ猫も恩を見る）

ン、ならウチも。オススメみたいやから

なら、お２つ頂戴にゃあ（そう言って間もなく、こしあん、つぶあんのおはぎがそれぞれ来る）
新井はんは、どっちにしなはるー？

あっえっと………どちらでも………？

ほにゃ、うちはつぶあんにしよ〜。
兄はんも、どうぞ。
（自分の方におはぎを一個取って、もう一つのおはぎを差し出した）

ん、ありがとうなぁ。あ、お茶のお代わり頂けますかえ？

（間もなく、おかわりのお茶が席に届けられる）
これは普通にあんこやけど、ごまとか、きなこでおめかししてる子もええよねぇ
（小さな生き物を愛でるような目で少し見てから、つぶあんのおはぎをぱくり。それからお茶も一口）
うん、やっぱり似合いやねぇ、この子等。

ああ、うぐいすとかなぁ。
(先にお茶の口に含み)
普通に家で煎れるのと違うものじゃのぅ、ほのかな甘みが美味しいお茶じゃ

うふふ、それもええねぇ。
うちもお家でお茶は飲むのやけど、ここのお茶も美味しゅうてね。何度も来てまうのよ（栗きんとんの最後の一欠片を口に運んだ）

わかるわぁ、ほんま美味しいもの。
(三口めの栗きんとんを食べ)
あまいもの、てリラックスできますなぁ

お茶もお菓子も気に入ってもろたなら、うちも嬉しいわあ。
兄はんは、お菓子なら他に何がお好きにゃの？

他……？
んんん、なんじゃろ？

（あまりお菓子食べに行く機会がなかったんやろか……？と思いつつも）
ああ、うちはねぇ、この前、知ってる男子（おのこ）が買うてきてくれたんやけどね。
『まりとっつぉ』言うて、ふっかふかの丸っこいパンに、いーっぱいクリーム挟まったの、お裾分けしてくれてん。
その子の顔に無邪気にクリームつけて笑う顔言うたら、そらあえろう可愛らしかったよぉ。
お友達にも『がっつき過ぎだぞ』言われててん（その情景を思い出したのか、笑みを隠しきれずに居る）

まりとお？
外つ国の菓子は変わった名前なんじゃな
和菓子ならお客さんがようくれたから、分かるんじゃが、それ以外はあんまり……。
ぁ、でも去年はケェキ食べたましたなぁ。シャイネン、じゃったか。その時に。

そそ。しゃいねんなはと。年に一度皆が仲良うする日やねぇ。
うちでも毎年、父さまが包んできてくらはってたわあ。

けーき以外にも、しゅとーれん、言うあまーいパンも食べる人もおるらしいね。
うちも今年はそれ、買うてみよかなー思ってるんよぉ（楽しみに声が弾んでいる）

しゅとうれん？人の名前かえ？

うーん、名前の由来はうちも知らんのよ。
でも食べたことあらへんから、どんなものかえろう楽しみやにゃあ。
これからも、うちらの知らへんもんがいっぱいあると思うと……（うふふ、と笑う）

楽しみですのぉ
(最後の栗きんとんを食べる)

ね、兄さんがお嫌やなかったらやけど。
またいつか、うちらでどこか、美味しいもの食べにいかへん？
別にみ猫は気ままな野良猫やさかい、一人でも行かれることは行かれるねんけど……。

えっあ、も、もちろん……！友達とお出かけなん、嬉しいですじゃ……！！

ほんみゃ？友達なんて、嬉しいわあ（ほにゃっと笑顔になった）

それじゃ……うちを呼ばはる時は、ここに呼びつけてぇなぁ。甘いものでもおご馳走でも、喜んでお供しますえ。
（持っていた扇にサラサラと何かを書いて渡した。み猫の連絡先らしい）

ま、ウチが扇子貰うなんて！これ、何だかドキドキする事じゃったンじゃなぁ！！(きゃっきゃ)
ウチはな、此処か此方に連絡してなぁ。
(さらさらとメモ帳に書いて渡す。可愛い花柄)
普段はサヨナキドリ豊穣店におるから、買い物おいでなぁ。

すまへんね、丁度ええメモを持ってへんかったんよ。
サヨナキドリさんなあ。覚えたよぉ。いっぱいおめかししていかんとね（かわいいメモを袂へとしまい込んだ）

……それにしても。お菓子って、食べたらあっちゅう間に無くなってまうもんやねぇ……。
（お茶もお菓子も、気づけば残り一口ずつ。少しさみしそうだ）

扇子、現役の時はよう聞きましたなぁ……。残念ながらウチ、あげるよな事はなかったンじゃけど。回りに目出度い子らがおらんくて。
ふふ、お化粧品もなんでもあるゆえ楽しいって評判じゃぞ

そやんなぁ……楽しい時間もあっという間じゃ

ま！それは楽しみやわあ。
うちも次に兄はんと出かけるまでに、ええとこ、見つけておかなねぇ。

さ、猫もそろそろ行かないかん時分やわあ（最後の一口まで、きれいに平らげて）
お姉さん。お勘定ええかにゃ（巾着から銀貨を数枚）

ええ、ウチも。良いもん揃えんとねぇ

(こちらも同じように会計を終え)
み猫さん、またなぁ。今日は楽しかった

ほなにゃあ。恩の兄さんも、お元気でねぇ
（ゆるく手を振り）
今日は栗きんとんとおはぎ。今度は……何にしようかにゃあ（軽やかに弾むような足で、猫は去っていった）

(ひらひらと手を振り、芸者擬きも店員に挨拶して後にした)