入って直ぐの広い座敷。
火鉢に衣桁、煙管盆。床の間には冬の花。

格子窓から外を覗けばはらはらと雪が降っている。

ああそうだった、成人しねェと飲めねェんだったね。
…ん？
（聞こえた音に外を見遣り、ゆったりとした動作で戸の方に向かってゆく）
はいはい居るよ。どちらさんだい？
…んん？
（戸を開けて相手の姿を見受けると、はてと眉根を寄せる。手に持った煙管をくるくると回しながら）
あんた、前に何処かであったかい？