ここにあるのは、だれかの物語。嘘か本当かもわからない、物語。 大きな古木。踊る木漏れ日のその中に、ひとつの小屋がある。
天蓋のように空を覆う枝葉に包まれたそれは、樹上の小屋だ。

いつごろからか鎮座するようになったその小屋では、古木の葉を集め、日夜、紙が作られている。

それは、誰かの物語を綴るために。
――嘘か本当かもわからない、誰かの物語のために。


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