ギルドスレッド スレッドの一部のみを抽出して表示しています。 旅亭『雨宿り』 50分で書いた糞みたいなSS『利香のとある1夜』 【瘴気の王】 リカ・サキュバス (p3p001254) [2018-07-29 00:16:13] 雨宮利香は悩んでいた。 雨宮利香は悪魔と人間の混血である。厳密には魂を喰らう魔石『夢魔』と人間の混血である。 普段は笑顔で「いってらっしゃーい!」なんて言ってる彼女であるが、その脳みそは決して他人にお見せできないほど真っピンクである。 というか普段の性格も猫を被った結果である。明るくてマイペースなのは素であるが、根っからの悪魔なのである。 本来の彼女は自分勝手で、わがままで、『自らと同化させる事で魂を救済する』と言う独り善がりの偽善を振る舞い、そして、ど淫乱なのである。 普段の華奢で誠実そうな見た目よりは、今の贅肉を持て余すような淫乱な姿の方がふさわしい性格なのだ。 なのに。 なのに。「なんで名声しか広まらないのかしら……」 ただただ善人扱いされることに疑問なのであった。 まあ、メタな話をすれば「悪属性依頼に受からないでいたらもう後戻りできなくなった」が正しいのだが。 ともかく、彼女は悪名が欲しかった。 記憶が失われていても、『悪名高き魔界の第一王女』という元の世界における自らの身分に若干惹かれて居た所があったのかもしれない。「もっとこう、怖がってる男相手に、高笑いしたりとか……悪そうに振る舞うとかしたほうが良いのかしら」「後は、宿屋に泊まってる人に……いや、そんな事したら牢屋行きねえ……」 彼女は不器用なのだ。そもそも戦闘で自ら前にでている理由ですら体力が自慢なことだけではなく、何も考えれなくとも敵の攻撃を受け止めることにさえ徹すれば、それだけで勇敢な行為とされるだろうと言う甘えの精神からであった。 彼女は元より細かい調整や加減というものが苦手であった。おそらく、極端に悪になるか、極端に善人の革を被るしかできないだろう。「はぁ……私、このまま『優しいサキュバス』として一生を終えるのかしら……」 右腕でその重すぎる双丘を持ち上げながら、左手の指を折り、混沌における国を数える。 幻想における名声は、もはや言うまではないだろう。「はぁ~い♡愛の悪魔、リカちゃんよ♡」なんてウインクしながら町中で悪い行為に及ぼうとしたって。彼女が悪人だと思う人はあまり居ない。どっかの『愛の妖精』思い出してなんか不愉快だし。そもそも人の身体に擬態している現状ですら狙いの女性に迫っては憲兵に補導される日々を繰り返しているのだ、それほどまでに自らが人の身体に化けれる悪魔だという事は知られている。 海洋における名声は……あまりないが、ここで悪名を重ねるのは無理だ。利香は金槌なのだ、海賊行為をしたって無理に海に出て溺れて醜態を晒したのは今でも恥じている。せめてこの翼が機能すればと思ったのは何度目だろうか。 天義における悪名を積むのは簡単だ。あの頭が『正義』で練り固まった連中に『寛容』の精神を突き詰めてやれば彼女は悪になるだろう。が。彼女は見て5秒でわかるレベルの悪魔だ。まず天義に入った時点で首が飛びかねない。そこで悪名を積むのは危険すぎる。 鉄帝は、そもそもどうやれば悪を積めるのかはわからない。チカラこそが正義、まさしく脳みそが筋肉で出来ているあそこで大暴れすれば、寧ろ名声が上る可能性がある。色気を振りまくにも通じない可能性がある。 練達は……ふと、HINAや彼女が遭遇したレッドスライムゼリーの事を思い出し、首を振る。命がいくつあったって足りやしない。そもそもあんなおっかないもの作るの何考えてるのよ。 傭兵のことを考えるが、それもまた彼女の候補には上がらない。あそこでは金が正義だ、踏み倒してやれば思いっきり悪名が及ぶだろう。だが彼女の趣味の一つに『マジックアイテム集め』がある。魔法力を込めた道具が大好きな彼女に取って、あそこの闇市を使用できなくなるということは苦痛に値する。おまけに、あそこには行商人を務めるくっそ腹が立つ妹がいる。人の領域で変なことをするなと文字通り釘……否、槍を刺されて終わるだろう。「となると……」 指を一本持ち上げ、それをじっと見つめる。 深緑。自然と調和し、独自の文化を築いた国。 そこなら行けるかもしれない。おまけにあそこは国交がそんなに無いはずだ。 そんな不謹慎なことを考える。「『悪名高きサキュバス』になるには……深緑しかないわね!」 ドヤ顔で言う利香。サキュバスらしい性格ではあるが、抜けた所もあるのが彼女である。「となると、何すればいいのかしら……深緑で悪いことするのって」ガラッ「森を焼けばいいのです!」ピシャリ。「うーん……」 突如入った妨害を処理して、考慮する。森を焼く……確かに悪を見せつけるには、炎がふさわしいかもしれない。 悪人になりたければ幻想種の森を焼けと言うジョークもあるし。 よし、やっぱり森を焼こう。そう決心する利香。が。「……焼くしか無いわね、森を……って言ってもどうやって焼けばいいのよ……木の2,3本燃やしたってそう簡単には燃え広がらないわよ……?」 葉っぱ1枚の火の粉が山火事の原因になることもあれば、大きな炎でも原因にならないときもある。森というものは極めて不安定だ。 ……数十分思い悩んだ利香が出した答えは、『とにかく燃やしてみよう』というものであった。「いいえ、燃やしてみましょう!油なりなんなりぶっかけて、松明でも投げ込んだらきっと燃えるはずよ!」 うんうんと頷く利香、よし、ならば早速深緑にいって放火しよう。今日は派手な花火パーティーだ。ゲスな笑いが溢れ出す。幻想のイキリ野郎どもは孤児院なんか燃やして喜んでるみたいだけど、こっちはもっと大きいのをメラメラに燃やして悪名を稼いでやろうじゃないか。そう悪しき微笑みが漏れ出て。「いひひ、いひひひひ……♪よぉし、それじゃあ早速燃やしちゃうわよ!深緑をメラメラに燃やして、この世界が滅びちゃうかってぐらい――」「誰が世界を滅ぼすんでごぜーます?」「――へ?」 気が付けば、そこは空中庭園。そしてダルそうに、両手持ちのハンマー――ざんげハンマー2――を抱えたざんげさん。うっかり空中庭園にワープしてしまっていたらしい。口はわざわいのもと。「あっ、あっ、いや、ええと、ざんげちゃん?その……」「問答無用!」 直後。振りあげられるハンマー。記憶ごと、垂直に吹っ飛ばされる利香。 今日も彼女は悪事を働く事無く、混沌の平和は守られた。 魂と性欲を喰らう悪しき悪魔である利香が何も表立って悪いことをせず、善人として1年間生きていた裏にはこういう事情があったのかもしれない……。 「って何この糞SS?」(作成時間:50分)(文字数 大体 2730文字)(スペシャルサンクス:ラヴィエルさん、クーアさん、ざんげさん)(そしてPPPを愛するすべての皆様)(オチが弱いのは利香の背後の仕様です。) →詳細検索 キーワード キャラクターID 検索する キャラクターを選択してください。 « first ‹ prev 1 next › last » 戻る
雨宮利香は悪魔と人間の混血である。厳密には魂を喰らう魔石『夢魔』と人間の混血である。
普段は笑顔で「いってらっしゃーい!」なんて言ってる彼女であるが、その脳みそは決して他人にお見せできないほど真っピンクである。
というか普段の性格も猫を被った結果である。明るくてマイペースなのは素であるが、根っからの悪魔なのである。
本来の彼女は自分勝手で、わがままで、『自らと同化させる事で魂を救済する』と言う独り善がりの偽善を振る舞い、そして、ど淫乱なのである。
普段の華奢で誠実そうな見た目よりは、今の贅肉を持て余すような淫乱な姿の方がふさわしい性格なのだ。
なのに。
なのに。
「なんで名声しか広まらないのかしら……」
ただただ善人扱いされることに疑問なのであった。
まあ、メタな話をすれば「悪属性依頼に受からないでいたらもう後戻りできなくなった」が正しいのだが。
ともかく、彼女は悪名が欲しかった。
記憶が失われていても、『悪名高き魔界の第一王女』という元の世界における自らの身分に若干惹かれて居た所があったのかもしれない。
「もっとこう、怖がってる男相手に、高笑いしたりとか……悪そうに振る舞うとかしたほうが良いのかしら」
「後は、宿屋に泊まってる人に……いや、そんな事したら牢屋行きねえ……」
彼女は不器用なのだ。そもそも戦闘で自ら前にでている理由ですら体力が自慢なことだけではなく、何も考えれなくとも敵の攻撃を受け止めることにさえ徹すれば、それだけで勇敢な行為とされるだろうと言う甘えの精神からであった。
彼女は元より細かい調整や加減というものが苦手であった。おそらく、極端に悪になるか、極端に善人の革を被るしかできないだろう。
「はぁ……私、このまま『優しいサキュバス』として一生を終えるのかしら……」
右腕でその重すぎる双丘を持ち上げながら、左手の指を折り、混沌における国を数える。
幻想における名声は、もはや言うまではないだろう。
「はぁ~い♡愛の悪魔、リカちゃんよ♡」なんてウインクしながら町中で悪い行為に及ぼうとしたって。彼女が悪人だと思う人はあまり居ない。どっかの『愛の妖精』思い出してなんか不愉快だし。そもそも人の身体に擬態している現状ですら狙いの女性に迫っては憲兵に補導される日々を繰り返しているのだ、それほどまでに自らが人の身体に化けれる悪魔だという事は知られている。
海洋における名声は……あまりないが、ここで悪名を重ねるのは無理だ。利香は金槌なのだ、海賊行為をしたって無理に海に出て溺れて醜態を晒したのは今でも恥じている。せめてこの翼が機能すればと思ったのは何度目だろうか。
天義における悪名を積むのは簡単だ。あの頭が『正義』で練り固まった連中に『寛容』の精神を突き詰めてやれば彼女は悪になるだろう。が。彼女は見て5秒でわかるレベルの悪魔だ。まず天義に入った時点で首が飛びかねない。そこで悪名を積むのは危険すぎる。
鉄帝は、そもそもどうやれば悪を積めるのかはわからない。チカラこそが正義、まさしく脳みそが筋肉で出来ているあそこで大暴れすれば、寧ろ名声が上る可能性がある。色気を振りまくにも通じない可能性がある。
練達は……ふと、HINAや彼女が遭遇したレッドスライムゼリーの事を思い出し、首を振る。命がいくつあったって足りやしない。そもそもあんなおっかないもの作るの何考えてるのよ。
傭兵のことを考えるが、それもまた彼女の候補には上がらない。あそこでは金が正義だ、踏み倒してやれば思いっきり悪名が及ぶだろう。だが彼女の趣味の一つに『マジックアイテム集め』がある。魔法力を込めた道具が大好きな彼女に取って、あそこの闇市を使用できなくなるということは苦痛に値する。おまけに、あそこには行商人を務めるくっそ腹が立つ妹がいる。人の領域で変なことをするなと文字通り釘……否、槍を刺されて終わるだろう。
「となると……」
指を一本持ち上げ、それをじっと見つめる。
深緑。自然と調和し、独自の文化を築いた国。
そこなら行けるかもしれない。おまけにあそこは国交がそんなに無いはずだ。
そんな不謹慎なことを考える。
「『悪名高きサキュバス』になるには……深緑しかないわね!」
ドヤ顔で言う利香。サキュバスらしい性格ではあるが、抜けた所もあるのが彼女である。
「となると、何すればいいのかしら……深緑で悪いことするのって」
ガラッ
「森を焼けばいいのです!」
ピシャリ。
「うーん……」
突如入った妨害を処理して、考慮する。森を焼く……確かに悪を見せつけるには、炎がふさわしいかもしれない。
悪人になりたければ幻想種の森を焼けと言うジョークもあるし。
よし、やっぱり森を焼こう。そう決心する利香。が。
「……焼くしか無いわね、森を……って言ってもどうやって焼けばいいのよ……木の2,3本燃やしたってそう簡単には燃え広がらないわよ……?」
葉っぱ1枚の火の粉が山火事の原因になることもあれば、大きな炎でも原因にならないときもある。森というものは極めて不安定だ。
……数十分思い悩んだ利香が出した答えは、『とにかく燃やしてみよう』というものであった。
「いいえ、燃やしてみましょう!油なりなんなりぶっかけて、松明でも投げ込んだらきっと燃えるはずよ!」
うんうんと頷く利香、よし、ならば早速深緑にいって放火しよう。今日は派手な花火パーティーだ。ゲスな笑いが溢れ出す。幻想のイキリ野郎どもは孤児院なんか燃やして喜んでるみたいだけど、こっちはもっと大きいのをメラメラに燃やして悪名を稼いでやろうじゃないか。そう悪しき微笑みが漏れ出て。
「いひひ、いひひひひ……♪よぉし、それじゃあ早速燃やしちゃうわよ!深緑をメラメラに燃やして、この世界が滅びちゃうかってぐらい――」
「誰が世界を滅ぼすんでごぜーます?」
「――へ?」
気が付けば、そこは空中庭園。そしてダルそうに、両手持ちのハンマー――ざんげハンマー2――を抱えたざんげさん。うっかり空中庭園にワープしてしまっていたらしい。口はわざわいのもと。
「あっ、あっ、いや、ええと、ざんげちゃん?その……」「問答無用!」
直後。振りあげられるハンマー。記憶ごと、垂直に吹っ飛ばされる利香。
今日も彼女は悪事を働く事無く、混沌の平和は守られた。
魂と性欲を喰らう悪しき悪魔である利香が何も表立って悪いことをせず、善人として1年間生きていた裏にはこういう事情があったのかもしれない……。
「って何この糞SS?」
(作成時間:50分)
(文字数 大体 2730文字)
(スペシャルサンクス:ラヴィエルさん、クーアさん、ざんげさん)
(そしてPPPを愛するすべての皆様)
(オチが弱いのは利香の背後の仕様です。)