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ギルドスレッド

同人ショップ『二次元ぱれぇど』

【RP】

新年を過ぎ、冬イベの新刊もちらほら入荷している同人ショップ。アニメ・漫画グッズもあり、近頃はボードゲームまで並び始めている。

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ここか。ローレットで登録されていた俺の店は。
(萌えキャラの描かれた看板を見上げた後、マスターキーで鍵を開け、ゆっくりと店の入り口をくぐる。

片手には買い物袋。手元で揺れればガラス同士がぶつかる音がした)

……アニメの店?
照明のスイッチをつけて視界に入る同人誌を見た後、ぽつりと呟いた)
(荷物をカウンター奥に置いて、ゆっくり店内を歩き回る。情報量の多さに頭を押さえた)
うっ。いかん、なんだか頭が痛くなってきた。少し休むか……。
周囲の店舗の雰囲気を見る限り、この店は大分変わってるんだろう。逆に言えば、供給はここだけ。需要が一定あるなら、ある程度のやり繰りはしやすいって訳か。
(カウンター奥に流し台を見つけ、湯を沸かしはじめる。
買い物袋からシガレットケースを出し)
……ん。商品に匂いがつくか。
……。
(落ち着かない。そわそわと視線を彷徨わせる事数分。お湯が沸いたところでカップに熱湯を注ぎ、温める。

捨て湯の後に熱で溶かすのは角砂糖。

ラム酒を注いで湯で少し薄め、バターを投じてかき混ぜた)
ん……。ちと甘く作りすぎたな。
(出来上がったホットバタードラムのアルコールの匂いを楽しみながら、控え用のパイプ椅子に腰掛けた)
(いつも通り、にじぱれに来たはずなのだけれど。
店内も、いつも通りなのだけれど。店主だけ、想い人の雰囲気だけが違って見えた。)

(壁越しに、じっと見詰めて。最早性となった観察を始める。

普段上げている──僕は大人っぽくて格好いいと思っているんだけど──髪を下げているし。雰囲気だって、明るくて飄々とした物とは違って、静かで暗い。

なんだかまるで、同じ顔の別の人みたい!
……心当たりはあるが、当たっていない事を願うばかりだ。)


姉ヶ崎、先生…?

(おそるおそる、声をかけた。)
……ん。

(いつもは唇の端を緩ませ気さくな返事を返すところだが、届いた声に視線を向ける)

先生、か。確かローレットを訪ねた時も、そんな呼ばれ方されてたな。そんな風に呼ばれる程、俺はデキた人間じゃない。

それより、んなとこつっ立ってないでこっち来い。外は冷えただろ?
(あれ、いつもみたいに「政宗たん」って呼んでくれないの?「どうして?」その違和感に、笑顔が曇る)

だって、姉ヶ崎先生は姉ヶ崎先生でしょう?
…そも、その呼び方をされている理由は人として立派!師!というより別にあると思うんですけど。

……う、はい。お外、とっても寒かったです。最近雪が降ってるせいか、冷え込みが辛いですね…
(少々の戸惑いを孕みつつ、呼ばれたから駆け寄る。どうあれ、春樹さんに呼ばれるのは嬉しいから!)
師事の出来ない先生ってそれ、絶対問題あるだろ。いや、あったんだよな。
(だから今自分が"こう"なっているのだ。少なくとも目の前の相手の曇った笑顔に、あまりいい人物だった想像もつかない。

棚を物色しつつ、カウンター奥で再び湯を沸かしながら)

あったかい毛布を貸してやりたいところだが、さっき見つけたのはなんか、(締め切り前の徹夜締め切り用で)擦り切れて人様に使わせられるようか代物じゃなかったからな。
暖房高めにするから、ちっとだけ我慢してくれ。

(自分に作った時のように手際よく、カップを温めホットカクテルを作る。今度はミルクをベースにコニャックとバターを混ぜ合わせ、シナモンスティックをスプーン代わりにトッピング。
ほかほかと湯気の立ち上る、ホットミルクのようなリキュールを差し出し)
作る前に味の好み聞いときゃよかったな。アルコールは薄めにしたが、酒は飲めるか?"嬢ちゃん"
問題はありましたけど、僕にとってはある意味師匠みたいなものですし。
この場合の「先生」というのは、「作家先生」みたいな言い回しで──
(そこまで言ってから、震える唇を押さえる。少し、白い肌に青が混ざって。)
……嘘、先生…忘れて…?

…ふふ、大丈夫だよぉ。僕、子供体温だってよく言われますから。
でも、気遣ってくれてありがとうございます!

(いつものダメさからは想像できない…あ、ううん。器用な人ではあったから、やろうと思えば出来たのかもしれないけど。
冷えた手指を擦りながら、興味津々といった様子でカクテルを作る様子を観ていた。
差し出されたお酒を両手で受け取って匂いを嗅ぐと、温かいミルクの甘い匂いとブランデーの匂いがした。…なんだか、そわそわする。)
僕、あまりお酒に強くはないですけど…飲めますよ。大丈夫で、

(ふふっ。「嬢ちゃん」と呼ばれた瞬間に、思わず声を上げて笑い出す。
ああ、どうあれ変わってないなぁ!前のはじめましての時も女の子に間違われたもんね!)
すまん。忘れた。
(隠し立ても出来ないと悟り、ばっさりと言いきる。後ろ頭を軽く掻き)
どういう訳か、気づいたら商人ギルドに座ってて……それより前の記憶が無いんだ。教えてもらったローレットとかいうギルドで、ようやく名前を思い出せたくらいでな。

他人の見立てなんざ殆ど宛にならんさ。
自分の体は自分で管理してやらなきゃな。

(締め切り前にエナジードリンクでやり過ごしていた男からは、おおよそ予測もつかない言葉がとび出た。
本人はボケてるつもりは無いようで、自分のホットバタードラムを煽りつつ)
ノンアルコールカクテルにゃホットのレシピがなくてなぁ。暇な時に新しいのを考えーー……?何がおかしい?

(笑われれば、顔は殆ど変わらずだが、僅かに目を見開いた)
呼び方が古くさかったか?レディ、ミス、……黒髪の君、とか?
ぁ、……そっかぁ、僕の事も。全部忘れちゃった、んだ。
(寂しい。変わらない所が見えたとはいえ、自分との思い出も全て。綺麗に忘れられたと言われては。
もっと強く止めれば良かったのかな。でも、僕はそんな立場にいる人間じゃない……
薄く滲んだ涙を隠すため、カクテルの湯気で顔を隠した)

嘘ぉ?先生一回混沌でもぶっ倒れて病院送りになったって聞きましたけど!?
……記憶をなくしたって言うよりは、別の人生を歩んだ人みたい…。
(吃驚した勢いでぐるぐるとシナモンスティックを回す。
やだ…人ってこんなに変わるもの…?っていうか、こうだと僕が困る!側にいられる理由がなくなっちゃうじゃんか!)

ふふ、…っあはは!は、ふふ。新しいカクテルも楽しみだけど…
(やっと表情が変わってくれた事が嬉しい。なんて絶対言わないけど!)
んふふ、「姉ヶ崎さん」。僕、男だよ?
思い出そうにも手繰る記憶もなくて。手がかりはローレットでの依頼の履歴とまわりの口コミくらいだ。
(詰まる言葉を受けて、すまなそうに目を逸らす。
手繰るべき記憶は"渡した"のだから、頭の中にある筈もない。知る由もなく、腕を組んで考え込み)

お嬢ちゃんの知る俺は、そんなに危機感のない能天気な奴だったのか?
……別の人生……か。
(言われて自然と自分の服のポケットに視線が落ちた。ふ、と溜息をついて)
人づての情報だが、混沌は映画に出そうな化け物がいっぱいいるんだろう?多少は危機感を……って、なん、だって?
(男だ。意外な発言に改めてまじまじと相手を見る。しなやかそうな綺麗な体躯に目を細めた)
じゃあアンタが「透垣 政宗」か。
……そっかぁ。師匠にあげちゃったかぁ…。
…でも、気にしないでね。選択するのは先生の自由だったもん。
(気持ちを察するようにゆるく首を振る。)

ふふ、能天気っていうよりも……好きな事に夢中すぎて、自分の事を考える時間が無かっただけだと思いますよ。
自分の事を大事にしないでよく生きられるなぁとも思ってましたけど…その分、生まれる姉ヶ崎先生の作品は熱量が凄くて、面白くって大好きなんです!
(キラキラと目を輝かせて、興奮で頬が赤らむ。その姿はまさしくファンそのものだ。
視線の先には首を傾げて)
いるには…うん、いるけど。普通に暮らしていれば、会う事なんてないから。
案外大丈夫だよ?……ふふ、姉ヶ崎さんったらまた間違えた!
(懐かしいと笑っていたが、じわじわと頬が染まり袖で口元を隠す。)
あ、の…あんまり見られると、恥ずかしいよ……?
それに、どうして僕の名前を知ってるの?…今の貴方とは初対面だよね。
師匠?あげる?……やはりアンタが俺の記憶の手がかりみたいだな。

(好き。その単語が何故か物悲しく感じた。感動する様子の相手を見ても緩く首を傾げるのみで)
理解できんな。何事も命あっての何とやら……だ。好きなものがなんであろうと、それに命のリスクを負うのは馬鹿げてる。
無病息災、何のトラブルもなく、人並に生きていければそれで文句はない。

……。すまない、あまりにも可憐だったので。
確かに今の俺は君をしらないが、過去の俺が唯一残した道しるべだ。
(頬を染める相手の目の前へと無遠慮に近づき、手を取ろうと腕を伸ばして)
透垣、アンタは俺の嫁になれ。
……あなたが過去を知る気がないなら、これ以上を教えるつもりはないけど。

そんな事はないよ。それほど夢中になるのは良いことさ!
なにしろ先生自身が楽しそうだったもの。
倒れないように見張るのは僕の役目、だったしね!
(ぱちんとウィンク。……それにしても、本当に別人みたいだ。
いや、僕が観えていなかっただけでこれが本音…?わからない)

可憐…!そんな風に誉められるのは初めてぇ…。
か、可愛いじゃなくて可憐…!
(大事な事だから二回言った。手をとられるとクリスマスの時のそれと被り、ぐっと顔に熱が集まる)
は、はい!?
過去の記憶には興味ないが、過去の俺にはあるね。一発ぶん殴りたい。

綺麗事だ。
リスクを夢なんて砂糖菓子みたいな甘い言葉で覆って誤魔化してるだけで、死に急いでいるだけだな。
(記憶と共に欠けた何かに気付かぬまま、ウィンクする相手を仏頂面で見つめ返す。元々体躯が大きく派手な金染めの髪も相まって、意識せずとも威圧気味だ。

……いい返事だ。(疑問の「はい」を肯定と捉えて真顔のまま)そうと決まれば同居だ。政宗の家は野郎一人転がり込むスペースはあるか?
どうして?今の貴方になるに至ったのは、過去の貴方がそう選んだからでしょう。
どうして腹が立つの?
(きょとん、と目を丸めて首を傾げた)

……そう。
(別に、見た目に威圧されるような僕じゃない。同じ顔だから、少し、動揺していたけれど。
やはり僕が惹かれたのは前の「姉ヶ崎春樹」なんだと確信する。人を巻き込む熱量と魅力があって、僕を陰から引っ張り出してくれやがった人。好きなのは、前の春樹さんだ。)

…あ、あの……(聞き返しただけだって、言いにくくなっちゃった!)
ん、んうう!ある事はあるけど狭いよ!僕の部屋狭いし暗いんだからね!?
俺がいた世界じゃ記憶を望んで失うような事は出来なかった。仮にできたとしても、それは「逃げ」だろう。何の解決にもならん。

俺は奴とは違う。現実を見据えた上で、この世界で確実に"お前と"生き残る術を探り尽くす。望む事があれば何でも言え。出来る限りの事をしよう。

狭いくらいはどうって事ない。暗いのは照明でも変えてみるか?……DIYの道具は闇市で見かけたな……(腕を組み真面目な様子で考えはじめ)
……ん、そ、っか。でも…それで前の貴方が楽になるならって遠慮して、止められなかったけど。
姉ヶ崎さんはそう考えるんだね……真面目、だなぁ。

(答えを返せずに、俯いた。
この人は、僕の欲しかった言葉ばかりくれるみたい。でも、どうしても胸の奥がじくじく痛む。その言葉は、前の貴方に言って欲しかった。……僕なんか、そういう意味では眼中にも無かったってわかってるけど。そう思った途端に胸が苦しくなって、肩で息をした)

僕の部屋、日当たりが一番悪い部屋だから…元は僕のじいさんの部屋なんだけど、じいさんの生体っていうか種族を考えたらまあ当然だったしなぁ。
……DIYとか、出来るの?(凄いなぁ、と真面目な顔をじっと見詰めて)
……何もないから。俺にはこのアニメの店と、奴が残した一枚の手紙だけだ。
その言い方だと、政宗。お前は止めたかったんだな。

(俯く姿を見て、組んでいた腕を解く。大きな掌を伸ばし、叶うなら相手の頭を軽く撫でようと。叶わぬなら、手は宙を彷徨う末に降ろされるだろう)

した事はないが、やれなくもないだろう。「出来ない」という言葉はいつでも簡単に使える。ただ、何ものにもならない。(見つめられると鋭く澄んだ双眸が見つめ返す。前の姉ヶ崎ならニコリとでも笑ってそれとなく目を逸らしもしたが、まるで逸らす事を忘れたとでも言うように、じーっと見つめ返し)
……うん、止めたかった。僕、前の貴方が好きだったから。
変わってほしくなんかなくって、好きなんてなって貰えなくても、ただ側に居られればそれで満足だった、……だから…!

(俯いたまま、肩を震わせて涙を床に落とす。頭に大きな手が触れる懐かしい感覚に、声を殺すのも忘れてしゃくりあげる。優しいこの手が、僕は好きだった。)

……ん、じゃあ僕も手伝うよ。これでも器用だってよく言われるしね。あんまり重い物は持てないけど…「出来ない」訳じゃないもん。(前とは違い、しっかりと目を見てくれるようになった事に少々驚く。が、見つめ合う時間が長くなるにつれて頬に赤みが差していく)

……姉ヶ崎さん、見すぎ。
……。(泣き止むまで、ゆっくりと頭を撫で続ける。しゃくりあげる姿もじっと見下ろして、目線を合わせようと膝を折った。相手が頬を赤らめても無表情のままじーっと見ていたが、指摘されてようやく目をぱちくりさせ)
人と喋る時に目を見て話すのは当たり前だ。
(などとややズレた意見を零す)

いい心がけだ、政宗。後ろを向いて生きたあの男には勿体ないほどに。
……なぁ。「望む事があれば何でも言え。」その言葉、嘘じゃないんだぜ。だから……よく、考えておけよ。
(無表情ながらに、掌から伝わる優しさが暖かくて。段々と、警戒心が溶けていく。泣いたせいで赤みの残るまま、表情を和らげていく。同じ顔の他人、ならばこの人とも仲良くしたっていいじゃないか。)
……ふふ、えへへ。やっぱり、春樹さんって面白い。

そんな風に言わないで。それでも、僕の好きな人なんだから。
……わかってるよ。でも、(貴方が何を言いたいか、なんとなく解ってしまった)
……うーん!それなら先生が残したお手紙の内容を教えてほしい、な!
(ずいっと顔を寄せ、至近距離で幼く笑って見せた)
面白い?俺が?……特に冗談を言ったつもりは無いのだが。(どこに笑える場所があったかと、また真面目に思考を巡らせはじめる。分からなすぎて眉間に皺が寄った)
理解は出来ないが、ようやく笑ってくれたな。

政宗の将来が心配だ。もしやダメンズが好き、などという業の深い性癖なのか?
……ん。(分かっているなら、と答えを待てば、目の前に幼げな可愛い笑顔。不意打ちに僅かに目を見開き、はじめて目を逸らした)
……ただ一行。
"お前が打算であらゆるものを手に入れても、透垣政宗ーー…彼だけは手に入らない"と。つまりあの男は俺に挑戦状を叩きつけた訳だ。政宗が記憶を失う前の俺を好いていると知って、奪ってみせろと。奴の掌の上で踊るのは癪だが、奴に屈服するのは更に癪だ。
ふふふふっ、それ!わかってない所がなお面白いの!(眉間の皺を人指し指で押しながら、ころころと笑い声を上げる。気軽に触れてくる程度には、懐いた様子だ)
……まだ泣いてた方が良かった?

ふふ、確かに手のかかる感じは好みであったけど……違うよ。先生は僕の生き方を変えてくれたの。正しくは変えられちゃったっていうか、なんていうか。
こんな事、「姉ヶ崎春樹」に絶対教えてやるつもりなんか無かったんだけどなぁ!(目を逸らされた事を目敏い彼が見逃す筈もなく。「人と話す時は目を見ないと、でしょう?」と囁いた)

……ほ~~~~????あの人僕が好いてるって知った上で知らんぷりしてたのかよ?は~~~~?????(パァンと膝を打ち、繕う事も忘れて怒りを表に出す。もう笑うしかないと笑いながら!僕の気持ちを知っている上で、そんな事言うなんて!……酷い、けど。何か考えがあるんだよね、そうだよね先生?
……ひどいと、言えば?ふと思い立つ。)

…じゃあ、僕の事好きじゃないのに、なのに嫁になれって、言ったの?
(僅かに揺れる瞳を向けて、尋ねる。答えによっては、それが潤んでいく事だろう)
???……くっ。そう言われると余計に気になる。(皺を伸ばされれば眉をハの字に寄せたまま、軽く肩を落とした)
いや、泣かれるのは困る。

なるほど。道理で奴があんな挑戦的な文を残す訳だ。そういうきっかけは、作ったもの勝ちだからな。(囁かれひらと、彷徨わせた視線を政宗へと戻し)
なんだか落ち着かない。そわそわする。というか政宗、なんだか笑顔が怖いぞ。どういう反応なんだそれは。

(降って湧いた新たな疑問に、あっさりと)分からん。
(と答えてから、潤む瞳にお手上げだと両手を挙げて)
政宗が俺を好いてくれるのなら、その気持ちに応えるのは当然だろう。嫌いではないぞ、政宗。
わからないままでいてよ。その方が面白いもの!(ふふりと笑って、手を離した)
んふふ、そうだろうね!

……畜生。さんざ昔好きだった男がいる、今も引きずってるって聞かされたら告白なんか出来ないじゃん…(深い溜め息と共に肩を落とし、たものの再びじっと見つめた)
ふふ、落ち着かない?じゃあもっと見てるね、僕!……ついさっきまで、キレてたの。げんなりしたから止めたけど。

……サイテー。
(それでも、ぽろりと涙をおとした)
あ、それとね。勘違いしないで?
僕が好きなのは貴方に挑戦状を叩きつけたあの人だから。僕が恋愛感情を向けてるのはあの人だけだよ。
……そりゃあ、春樹さんも嫌いじゃあないけどさ?
むぅ……。(ぽりぽり。後ろ頭を掻いて首を傾げた)

好きだった男?それは……。いや、……。(何か言いかけて、最後には口を噤んだ。まだ落ち着かないようで、くるりと背を向け)な、何か新しい飲み物を。お酒も冷めてしまっただろつから。
(と話を逸らそうとした)

好き、という感覚がよく分からない。政宗とこうして居るのはそわそわするが、嫌いではないし。……っ。フラれてしまったな。(胸の痛みに口を紡ぐ。この感覚が何なのか、やはりよく分からない。考えようとすると妙に霞がかかる。少し寂しげに目を伏せた)
理解できないな。そこまで心が決まっているなら、何故望まない?分かっているのだろう。全くもって非効率だ。
それは、……なあに?言いたい事があるなら、ちゃんと言って?(向けた背に言葉を突き刺す。嫁にするだのなんだの言うくらいなら、僕から逃げるな。ちゃんとこっちを見ろ、姉ヶ崎春樹。)……ふふ、別に冷めたお酒も平気で飲めるのに。
(まあ、少しなら逃がしてあげてもいいけど。)

前より難儀な人になっちゃったなぁ。そわそわするっていうのが不快じゃないならー、春樹さん僕の事好きなんじゃないのぉ?(ふざけた口調で、他人事のように言い放つ。冗談のつもり、だけど。目的のために近づいてる人が、自分に対して本気だなんて思えない。伏せた瞳から目を逸らして)
ここまで心が決まっているから、望まないの。僕はこの年にして初恋だ。
「初恋は実らない」なんてジンクスは信じない……って訳ではないが、側に居ればいつか僕を見てくれるかもしれないだろう。ただ、今はあの人を好きでいられるだけで幸せなんだよ、僕は。
(そう、言ってから頬を染めて──「先生」に向けるように笑った)
まるで、好きな男を振り切って、政宗と向き合うためにお膳立てしたように思えたから。……歪な愛だ、と思った。(お代わりはゆずのジャムティーを。時間稼ぎのつもりが手際の良さであっさり作りきってしまい、頭の中で整理がつかず、むぅと口をへの字に曲げた)

好き、なのか?……これが。そうだったらいいな。俺は政宗を好きになりたい。
(こんなに求めているのに、こんなに欲しているのに。好きという感覚なのかどうかさえ分からない。ただ、相手がまた笑顔を向けているのに、胸が締め付けられるように痛んだ)
……。単純に、初恋は経験が浅い分失敗しやすいだけだろう。そばにいるだけで幸せ、なんて自分への言い訳だ。
政宗、お前はもっと幸せになっていいんだぞ。俺が言えた義理ではないが。
……そう。そう、だったのか。…先生が、ちゃんと向き合ってくれればそれでいい話だったのに。(…もし、それでこの人が僕を好きになってしまったらどうするつもりなんだろう。自分を殺してまで、僕と幸せにさせるつもりだったら許さないぞ。柑橘系の爽やかな甘い香りを嗅ぎながら、ぼんやり思いを馳せた)

……どうして、僕を好きになりたいの?物にするだけなら、なんの感情もなくたって出来るだろうに。
(記憶を失って、手がかりが僕しかない相手だとしても、ここまで執着された事に困惑する。好意を向けられるのが嬉しくない訳じゃない。ただ、今まで観てきた経験を思い出しても理由が、わからなくて、不安なだけで。)
……これ以上を望むなんて贅沢だよ。それに、あの人はもういないのに「愛されたい」って思ったって不毛でしょ。
僕の幸せを望むなら、貴方も幸せになるべきだった。
(ゆっくりと立ち上がって、許されるのなら背中に頭を預け、抱き締める。…だめなら、なんでもないようにカップを受け取ってまた座るだけだ。)
はれた惚れたの話は総じて面倒くさい。その典型だな。ただ、俺の推論はあくまで「恐らく」だ。これだけ先回りして考えを巡らせる男なら、何か手がかりを残してるかもしれないな。
(カップに口をつけて、すぐに離した。ふーふーと息をふきかけて冷まし始める)

責任を感じている。俺が君の好きな人を奪ったようなものだから。ただ、悔悟に生きるのは前の俺と同じだ。それはとても悲しい事……だから俺は愛したい。好きになりたい。
(なのに。何故心はこんなにも冷めている?
向ける場所を失った疑問に、寒気を感じて震えた。後ろから抱きしめられると、その腕にそっと手を添えて、大人しく肩の力をぬいて目を細める)
俺は憐憫で政宗を好きになりたい訳じゃない筈だ。なのに、分からない……分からないんだ。好き、の感覚が。
政宗の辛い顔を見るのが悲しい。もっと笑顔にしてやりたい。今の俺の幸せは、それだ。
ついでにめんどくさい人だもんね、姉ヶ崎先生は!……ぜーんぶわかられてるみたいでちょっぴりムカついてきた。……んー、手掛かり。手掛かりかぁ…
(他に残していそうな物は。……わからない。思えば、自分は全然あの人の事を知らないと気付く。何にも見えてなかったのかなぁ、僕…)

……それで、僕が今の貴方を好きにならないとしても?ずっと、あの人ばかり好きでいる僕だとしても?…でも、その気持ち自体は嬉しい。貴方は優しい、よね。
(多分、僕はあの人が戻ってこないとしても、あの人を想い続けるんだろう。腕に手を添えられると回した腕に力を込めて、すうっと息を吸い込んだ)
……それって、まるっと抜けちゃってるの?…だとしたら、もしかしたら、推測だけど……師匠に、取られてるの、かも。な、なんて……
う、(ちょっときゅんときてしまった)…ありがとう。じゃあ、僕いっぱい笑うから…
全て押し付けられた身としては、同意せざるを得ない。……付き合いの長そうな政宗でも、何も思いつかないか?(ぐるりと店の中を見回す。薄い本やコスプレ服が所狭しと並ぶ店内。カウンター奥には作業机に作りかけの原稿。簡易な流し台。二階に続く階段などなど。広い店内をすぐに全て探し切るのは難しそうだ)

必要な時が来たら振り向かせてみせるさ。そのためにはまだ時間が必要だ。あの男と政宗が過ごした以上の時間が。
(負けず嫌いでツンと口を尖らせる。まるでいじけた子供だ。しかめっ面のまま)
抜け、た?……確かに……何か、穴が空いたような虚しさはある。感情を取るなんて、そんな事出来るものなのか?
(顔の愛想は悪いが、こくんと素直に首を縦に振り)
……ん。ありがとう。無理はするなよ。
ふふふっ!そうだろうねぇ!ごめんねあの人がね!(愉快そうにころころと笑って、腕の力が少し緩む)……わかんない。僕、思えばそんなにあの人の事、知らないから。ここでいつもお話ししてたのに、全然…ッ!
(じわりと再び声に涙の色が滲んで、それが情けなくて、背中に顔を押し付けた。このお店の中に、残っているだろうか。…果たして残してくれて、いるだろうか。)

……長いよ、それなりに。僕が先生と過ごした時間は。それでもあきらめない?
(すりすりと、背中に顔を擦り付けて。諦めてくれたら楽なのになぁ)
……やっぱりぃ。出来るよ、師匠なら。多分、師匠なら大抵の事は出来てしまうから。…記憶の対価に渡してしまったとか、そういうのじゃないかな。憶測も憶測だけど。
(きっぱりと、確信めいた口調で言い切る。もしそうだとしたら、なんて事をしてくれたのか。この人と向き合うためにも、一旦返してもらわなくちゃ。師匠の所に乗り込むか?)
無理なんてするほど気丈じゃないよ。
政宗が謝る事じゃないだろう。……勝手に記憶をなくして、勝手にお前に押し付けた男だ。普段からのらりくらりと話を逸らすなり何だりしていたのは想像しうるにたえないが。(背中が濡れる感覚。双眸に決意が宿る)探してみるか、残したものを。
あるいはその師匠とやらにまず会ってみるか。

……DIYはまた少し先になりそうだ。
(顔を擦り付けられれば労わるように二の腕をぽんぽん叩く)
諦めない。待つ。時間が解決するなら簡単だ。ただ座して待てばいいのだから。
確かにさっきから政宗はころころと表情が変わるな。万華鏡みたいで綺麗だが。
……いつか話してくれる時まで待とう、あわよくば聞いちゃおうかなぁなんて思ってたらこれだもん。…うー、先生のバカ。バカバカ!(師匠に会ってみるか、という言葉に凄い勢いでこくこくと頷く)
うん、うんっ!聞いてみよ、師匠に!

……ごめんね、同居はもうちょっとお預けで!
(腕を離したかと思うと、前から思いきり抱き付いた。僕の事を大事に思ってくれる事が嬉しいから、そのお返しのつもりだ)
……待ってる間に、僕はどんどん年を取って可愛くなくなっちゃうよ?それでも待つのぉ?
…嘘、そんなに僕って顔に出てる?(ぺたぺたと顔を触った)
そんな気配を察したから動いた可能性もあるんじゃないか。
……やる事は決まったな。向かうか、その師匠とやらの所に。よほどヤバそうな相手に聞こえるが、銃火器の類は効くのだろうか。(しれっと不吉な事を言いつつ、作業机に置いてあった手甲を手に取る)

カタがついたら転がり込……んっ。(前から抱きつかれると、がっしりとした腕で潰さないように、優しく抱きしめ返してみたり。頭を優しく撫でて)むしろ俺の方の加齢が心配だ。
出てるがそれは悪い事とも言い難い。俺のように愛想が悪いと何かと勘違いされやすいからな。
先生、よく気付く人だからなぁ。……あぁ、もう。なんか、僕の全部を見透かされてるみたい!
……うん!師匠、サヨナキドリに居るかなぁ。前にね、「我(アタシ)だって殴れば死ぬんだよぉ(へたっぴな声マネ)」って言ってたから痛いこた痛いと思う!(不吉な答えを返しつつ、するりと袖からカモミールを生やしてみせる。今日も魔力の通りは良好!)

んー?ふふ、養ってあげてもよくてよぉ?これでも春樹さん一人なら、養える財力はあるんだからね。(抱き締め返されると目を細め、逞しい腕に頬擦りする。撫でる手に、気持ち良さそうに目を閉じて)ふへ、そこは春樹さんが頑張ってよぉ!
そっかなぁ、わかりやすいって不利じゃない?……んー、愛想悪くても観てればなんとなく何考えてるかわかるし、僕は困らないんだけど。
サヨナキドリ?俺が最初に目覚めた、あのファンタジーみたいな銀髪の人がいる店か。
……。(声真似を聴くと半眼で考え込み)声は似てないが、どうやら俺をもてなしてくれた商人さんは政宗の師匠らしい。胸ぐら掴んでも怯むタイプじゃなさそうだな。どう情報を聞き出すか……、んっ。政宗も魔法が使えるのか。凄いな。

ちゃんと生活費くらいは入れるさ。前の俺みたいにこういうアニメ?には詳しくないが、これだけ鍛えてれば酒場や土方作業でそれなりに稼げるだろう。この世界にどういう仕事があるのか、まだよく分からないけどな。

この世界で色々調べれば不老不死にはなれるかもな。(唇の端がほんの少しつり上がる。撫でる手は緊張が解けて温かく。目を閉じた相手によしよししてあげたまま)見てれば分かる?それは政宗が、人の心の機敏に気づけるタイプの人間だからだろう。才能だと思うぞ。
そう!そこです!師匠はね、本当に魔法使いなんだよぉ!
…んー、それこそ何か対価を払う、とか?今回は僕の我が儘でもあるし、僕から出しても構わないんだけど。(褒められると誇らしげに胸を張る)え、えへへっ!僕のは魔法じゃなくって魔術だからぁ!そんな事ないよぉ!(そうは言いつつ嬉しそうだ)

……そんなのいいのに。記憶がないんだから、生きるのだって大変でしょう?…それに、見せる用の筋肉だって先生言ってた。だから、土方だと大変かもー…?っていうか、春樹さんもローレットに登録してるんだからその仕事をすればいいじゃん!別に戦えって依頼ばかりじゃないもの!

……不老不死なんて駄目だよ。僕が置いていかれちゃうでしょう。(止めろとでも言いたげに、抱き締める腕に力を込める。撫で続けられると口元がにやけ、唇をぎゅっと結んで誤魔化した)才能。…僕、自分の事は平凡だと思ってたんだけどなぁ。そっか、才能かぁ。……だから、親友とも仲良くなれたのかなぁ…(ぽつりと、そうこぼした)
可愛い弟子の頼みぐらいロハで聞いてやれよって思うけどな?魔法と魔術の違いが俺にはよくわからないが、とりあえずどっちもやれるだけ凄い事は確かだよ。俺はサッパリだ。

見せ筋だって筋肉だ。俺は政宗が思ってるほどヤワじゃないぞ。土方が難しいなら株とか……って、この世界の経済がどう回ってんのかサッパリだけどな。

まぁ、人生しんどいもんだし永遠は確かに困りもんだな。
何かその才能で得たものがあるなら良かったじゃねぇか。(撫でる手を下ろすと、吐息混じりのため息をつき)俺も、今みたいに政宗がいっぱい笑えるように……失くしたものは取り戻さなきゃな。交渉してみてどうなるかは分からんが、やるだけやってみるか。
前にちょっと聞いてみたけど、僕には言ってる事がさっぱりわかんなかったしなぁ!でも、商売じゃなきゃ話してくれるかも!……えへへへぇ、そんなに褒めないでよぉ。春樹さんだって、やろうと思えば出来るかもよぉ?こっちに喚ばれてる時点で、その可能性は生まれてるはずだもの。

……なんか、春樹さんかっこいい。僕はまるで力仕事できないし、憧れるかも。……ちょっとだけ、ちょっとだけね!(慌てたように付け足した)…僕も正直わかんない。ド庶民だしなぁ、僕!

ただでさえ目を離したらどっかいきそうな春樹さんなのに、永遠なんて手に入れたらどうなるかわかんないもん!
(手を下ろされると寂しそうに相手を解放して)…ん。先生に文句言ってやる為にも、僕もお手伝いするよ!……師匠の所に、行ってみよう。
そういえば作業机の所に手甲みたいなのがあったぞ。ほら。(右腕に軽い気持ちでつけて、ぶんぶん腕を振ってみる)どうみても拳でどうこうするタイプだろ。魔法なんてーー(ボッ、と拳から火の粉が散った)……!?

庶民なら余計に、政宗ひとりに無理させる訳にはいかないな。だから一緒に頑張って、一緒に生きよう。それで十分だろ?無知は恥だ。分からないから何もしない、よりも分からないから足掻きたい。

……そ、そんな寂しそうな顔するな。後でまたいくらでも撫でてやるから。(いざ向かうとなれば首を傾げて)それで、道案内を頼めるか?まだ道があやふやでな。
(あ、なんとなくどうなるかわかってしまった。止めずに、生暖かく見守る。火の粉が散ると、クスクス笑い声をあげて)……っふふ、吃驚した?物理型に見える武器でも、神秘──魔術で戦う方法もあるって事だよ。…先生は、前衛の人だったもの。

……じゃあ春樹さんにも頼っちゃおうかな。恋愛感情を抜きにしても、貴方と一緒に生きるのは楽しそうだから。一緒に足掻きたい。…ふふ、でも変な事しないでね?(弄ぶようににやにやと意地悪な笑みを浮かべた)

……約束だよ?絶対、絶対後で撫でてね!僕が満足するまでやめちゃ駄目なんだからねっ!(こくりと素直に頷いて、引っ張っていくつもりで手を差し出した)もちろん。春樹さんが迷子になったら困るもの!
ビックリした。俺もいつの間にかファンタジーの人間になってたって訳か。未知の力ってのはどうにも扱いづらいが、無いよりマシだ。武器になるなら何だって使ってやる。きっと昔の俺もそうして足掻いてきたんだろ。

変な事しないとは言い切れない。俺も男だ。そういうものは成り行きだろう。(嘘がつけずに可能性を残す狡い大人である。僅かに頬を染めて視線を逸らした)

あぁ、約束だな。(差し出された手を取り、きゅっと握る。手を引かれれば、歩調を合わせながら共に歩き出した)

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