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Country House

【個別】Bitter & Sweet

これはとある少女の、ちょっとした勘違いから生まれたもの

季節は冬
冷たい風が吹くこの季節でも街中は人々で溢れ活気づいている
よく見ればなにやらプレゼントを贈り合っている様子であり…

「貴方に幸福を。灰色の王冠を」

今日はグラオ・クローネの日
家族、親友、恋人、仲間……
大切な人に贈り物をして、その絆を形にしようという日である

人々がそれぞれの幸せを紡ぐ中、俯きつつ走り出す少女が一人
少女が落としたものを手に取り、後を追う青年
これはそんな二人の、その後の一幕

■<グラオ・クローネ2020>飴色ベリル
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/2749
このお話の続きとなります

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(………………。
……友チョコ義理チョコ馴染みチョコ?
しっかりとラッピングされた大きめのあのハート型ボックスが何を意味しているのかわからないの?零くんは鈍感なの?私も私で思い出したくもない光景をどうしてハッキリと鮮明に記憶してしまっているんだろう…)

そ、そう…貰えてよかったね!可愛らしい子から貰えるなんて、
零くんもなかなか隅に置けないねっ
(段々と暗い思考になっていくのが自分でもわかる
しかしここはなんとか乗り切ろう…)

……?落とした…?
(なんのことだろう?
表情を見られないように俯きながらゆっくりと振り向く
そして彼が手にしたものが視界に入った途端、目眩がした)
(なぜあれが…よりにもよって零くんの手に…
これを私に返すために…?なぜ…?
そっか…これは零くんが貰ってはいけないもの
貰ったら、あの子に誤解されるかもしれないから
私が作ったこのチョコは、零くんにとっても、あの子にとっても、呪いの品でしかないのだ
ここまでして私に手渡そうとするなんて、零くんはあの子のことが本当に大事なんだね
私が入り込む余地なんて欠片もないんだ……
自分が作り出してしまった呪いのチョコは自分が責任を持って回収しよう
これは私が現実から目をそらし続けた末に得た結果なのだ)

あ……ま、まさか零くんが持っていたなんてね…びっくりしちゃった…!
私を探すのきっと大変だったよね…届けてくれてありがとうね…
(俯いたままそっと受け取り自分の懐に入れ、また背中を向ける)
(とても苦しい。何かとてつもなく大きなものに押しつぶされそうな感覚
大樹に手を付き体を支えているのがやっとだ…)
零くん…もう、一人にさせてくれないかな……

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