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プロメテウスの火

秋と冬の合間の市

それは雲ひとつない程によく晴れた、とある町の近くの農村での話だ。

その日の市は秋の恵みと冬の備えに沸いていた。
様々な作物に、ずらりと並ぶ肉類、近くの森で集めたろうベリー類がそこかしこに並んでいる。
いずれも新鮮なものから既に保存加工が済んでいるものまで様々だ。
近くの露店には、りんごの木の薪なども売られている。
他にも何か欲しいものがあるなら、探せば見つかるかもしれない。

そんな市の片隅に、買い物客向けの休憩所があった。
昨今、日を追う毎に風の冷たさが増しているからだろう。
座って休めるベンチの傍には火が焚かれ、予備の薪まで並べてある。
――これは、流石にりんごではないようだけれど。

ともあれ、時刻は市が始まって幾ばくかの頃合。
早々にやってきた客達は目当ての品を手に入れ家路につき、
遅れてやってきた客達は今まさに品々に目移りしている最中だ。

彼女は、早々にやってきた人間のうち一人だった。
ある程度の買い物は済ませたのだろう。
幾つかある包みは、ある物は木屑の詰まった箱にそっと入れ、ある物は袋にまとめて詰め込む。

いくらかの後、終わったのだろう。
ほっと一息つくとベンチに腰掛け、傍らに置いていた茶を飲みだした。

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(クツクツと咽喉奥で密やかに笑みを噛み殺した)

慎重ね、でも良いことだわ。商売って冒険ばかりじゃないもの。
でもここで仕入れたものなら多少値が張っても良いと思うのは事実よ。

(意外そうな相手に軽薄なウインクをひとつ飛ばす。
 割ったおばけ南瓜にこちらも歯を立てた)

えぇ、本業は傭兵をしてるの。今回はギルドとして間借りしてる酒場の仕入れの手伝いよ。
人使い荒いったらないわ、どうせ今は仕事が少ないから良いんだけどね。

……確かに美味しいけど、歯が溶けそうねぇ。
もう少しスパイスが効いてた方が個人的に好みかも。

(もく、と口を動かしながら困ったように苦笑した。
 けれど隣からの申し出に表情が華やぎ、すぐに受け取る)

ありがとう、こういう瑞々しい果実の方が好きなの。
こっちは良いわね、干したり瓶詰にしてない生の果物が豊富で。

(切り口に滲む果汁を啜り、それから齧りつく。
 美味しい、と先程よりも柔らかく微笑んで)

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