ギルドスレッド
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プロメテウスの火
(市が終わる頃合までどうやって時間を潰そうか。
二本の足を何度か組み替え、持ってきた本でも読もうかと考えていた時だった。
かけられた顔を上げれば、笑顔の女性が一人)
――ええ、もちろん。
(対するこちらは特別愛想も良いとは言えず、然程表情も変わらずの有様であった。
ただそう言いながらも、着々と荷物をベンチの脇へと寄せていく。
ベンチはそれなりの大きさがあり、この分なら余裕をもって二人で座れそうだ)
肌寒ければ火の近くに座られるといい。
私は少々暑くなってきた所で。
(薪を足さなかった為に少しばかり火勢が衰えている。
まだまだ消えはしないだろうが、温もりが欲しければ薪を足す頃合だろう)
二本の足を何度か組み替え、持ってきた本でも読もうかと考えていた時だった。
かけられた顔を上げれば、笑顔の女性が一人)
――ええ、もちろん。
(対するこちらは特別愛想も良いとは言えず、然程表情も変わらずの有様であった。
ただそう言いながらも、着々と荷物をベンチの脇へと寄せていく。
ベンチはそれなりの大きさがあり、この分なら余裕をもって二人で座れそうだ)
肌寒ければ火の近くに座られるといい。
私は少々暑くなってきた所で。
(薪を足さなかった為に少しばかり火勢が衰えている。
まだまだ消えはしないだろうが、温もりが欲しければ薪を足す頃合だろう)
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その日の市は秋の恵みと冬の備えに沸いていた。
様々な作物に、ずらりと並ぶ肉類、近くの森で集めたろうベリー類がそこかしこに並んでいる。
いずれも新鮮なものから既に保存加工が済んでいるものまで様々だ。
近くの露店には、りんごの木の薪なども売られている。
他にも何か欲しいものがあるなら、探せば見つかるかもしれない。
そんな市の片隅に、買い物客向けの休憩所があった。
昨今、日を追う毎に風の冷たさが増しているからだろう。
座って休めるベンチの傍には火が焚かれ、予備の薪まで並べてある。
――これは、流石にりんごではないようだけれど。
ともあれ、時刻は市が始まって幾ばくかの頃合。
早々にやってきた客達は目当ての品を手に入れ家路につき、
遅れてやってきた客達は今まさに品々に目移りしている最中だ。
彼女は、早々にやってきた人間のうち一人だった。
ある程度の買い物は済ませたのだろう。
幾つかある包みは、ある物は木屑の詰まった箱にそっと入れ、ある物は袋にまとめて詰め込む。
いくらかの後、終わったのだろう。
ほっと一息つくとベンチに腰掛け、傍らに置いていた茶を飲みだした。