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プロメテウスの火
――はァい、じゃあよろしくね。
(長い尾を揺らした獣種の女がそう言って己が荷物を託した荷車に手を振った。
屈強な男は無言で頷き重そうな荷車をロバに引かせて市場を後にしていく。
それを見送った女は踵を返し、悠然と休憩所へと足を踏み入れた。
唯一、女の手荷物らしき紙袋がかさりとその手元で揺れる)
あら、お一人?
お邪魔じゃなければご一緒しても大丈夫かしら?
(ベンチに居る先客に気付いたか、気安い様子で声が掛けられる。
ゆるく首を傾げ慣れたような愛想笑いが口元に張り付いていた)
(長い尾を揺らした獣種の女がそう言って己が荷物を託した荷車に手を振った。
屈強な男は無言で頷き重そうな荷車をロバに引かせて市場を後にしていく。
それを見送った女は踵を返し、悠然と休憩所へと足を踏み入れた。
唯一、女の手荷物らしき紙袋がかさりとその手元で揺れる)
あら、お一人?
お邪魔じゃなければご一緒しても大丈夫かしら?
(ベンチに居る先客に気付いたか、気安い様子で声が掛けられる。
ゆるく首を傾げ慣れたような愛想笑いが口元に張り付いていた)
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その日の市は秋の恵みと冬の備えに沸いていた。
様々な作物に、ずらりと並ぶ肉類、近くの森で集めたろうベリー類がそこかしこに並んでいる。
いずれも新鮮なものから既に保存加工が済んでいるものまで様々だ。
近くの露店には、りんごの木の薪なども売られている。
他にも何か欲しいものがあるなら、探せば見つかるかもしれない。
そんな市の片隅に、買い物客向けの休憩所があった。
昨今、日を追う毎に風の冷たさが増しているからだろう。
座って休めるベンチの傍には火が焚かれ、予備の薪まで並べてある。
――これは、流石にりんごではないようだけれど。
ともあれ、時刻は市が始まって幾ばくかの頃合。
早々にやってきた客達は目当ての品を手に入れ家路につき、
遅れてやってきた客達は今まさに品々に目移りしている最中だ。
彼女は、早々にやってきた人間のうち一人だった。
ある程度の買い物は済ませたのだろう。
幾つかある包みは、ある物は木屑の詰まった箱にそっと入れ、ある物は袋にまとめて詰め込む。
いくらかの後、終わったのだろう。
ほっと一息つくとベンチに腰掛け、傍らに置いていた茶を飲みだした。