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プロメテウスの火
(今の所、静かな夜だった。聞こえるのは風の音と木の爆ぜる音ばかりだ。
――今はそこにヤカンの沸騰し始めた音が加わわっているが)
………。
(時折周囲を見回し、異常が無いか確かめる。
噂が本当かは分からない。けれどこのまま平和に朝を迎えられるならどちらでも良かった)
――今はそこにヤカンの沸騰し始めた音が加わわっているが)
………。
(時折周囲を見回し、異常が無いか確かめる。
噂が本当かは分からない。けれどこのまま平和に朝を迎えられるならどちらでも良かった)
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岩陰に隠れるように、木々の合間に潜むように、目を凝らせば誰かの焚いた火がひとつ見える。
傍らに見える人影は、人の半身に馬の半身がついたそれだ。
顔は遠目には分からないが、寄れば年若い女だと分かるだろう。
どうやら野営をしているようだった。
女の傍らには簡単な荷物がひとつ、すぐ手の届く場所に銃が一丁並んでいる。
――最近ここいらには夜盗の類が出るという。
警戒しているのか、それとも女がそうなのか。
その見つめる先で火にかけたヤカンが音を立て始めていた。