霧に包まれたどこかの山のどこかの小道。
あなたが霧中を切り抜けた先、高い木々で囲まれた日の当たる場所にある、ちょっとした草原。
すやすやと寝息を立てる小動物達と、其れ等に包まれて、寝息を立てる大きな存在を守護するように、寝そべるまま警戒し、あなたを観察する大型の動物達。
一匹の唸り声を皮切りに、様々な動物達が次々と起き上がり、あなたの前に立ちはだかる。
今にも迷い人たるあなたに襲い掛かりそうだ。

しかし、彼らの背後から牛の鳴き声が聞こえたかと思うと、鶴の一声を聞いたが如き様相にて、動物達は左右に別れて整列し始める。

整然と左右に控える動物達の列。
草原に現れた道の先におわしめすは、人面牛身の人外。
かつての世界では「やまがみさま」と呼ばれていた、一人(一匹)の雌牛であった……。


ウチ(うしひめさま)とお話し、しーましょ？

やまがみさま呼ばれてたんに、うしひめさまゆーんも可笑しな話やなぁ……。
後で直しとこ。

(きょろきょろ…どうやら迷い込んでしまったらしい。ここはどこなのじゃ…？)

(周りの動物達にびくりと体を震わせるも、振り払うように友を呼ぶ)

ウシヒメー！遊びに来たぞー！オイラだぞー！あーそーぼー！

(迷い込んだであろう人影には気づいていない。何故なら怖くて両目を瞑っているからである。)