―――薫り、売ります 幻想（レガド・イルシオン）、バルツァーレク領地の主要都市。
賑やかな繁華街の路地裏に小さな店がある。

一見、民家と見紛うその店先を大きな蛍石の様な結晶が淡く照らしている。
金属製のドアノブに手を伸ばして扉を開くと、入り口と同じような淡い灯が室内を満たしてた。

店の中はたくさんの鉱石、結晶石、岩石…様々な石類が所狭しと並んでおり、宛ら洞窟の様にも感じられるかもしれない。
実際空気はひんやりと、そして湿り気がある。
他にも瓶や引き出し、植物、古そうな物が多く連なっている。


奥でこちらに背を向けていた人物がこちらへ振り返った。


『ん、いらっしゃい。キミは――薫りを求めてきたのかな？』






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＊ゆっくり稼働