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黒蓮庵

【雑談ですよ】まあるい月影

もし貴方が黒蓮庵に足を踏み入れたならば、
この様な光景が目に入るでしょう。
ひとつは窓。
外からも見る事の出来た黒塗りの格子窓に、奥には円窓。
所謂和室と呼ばれる造りのようです。
ひとつは本。
低い2つの本棚に、綺麗に並べて入れられています。
…内容には偏りがある様ですが。
ひとつは宝石。
様々な宝石達が部屋の至る所で煌いています。
最後に白。
夜色に染まった庵の真ん中で、真白い少女が静かに佇んでいるのです。

「――ぁ…。こん、こんばん、は…?」
「もしかして、迷い込んでしまいましたか?」
「今日は綺麗な星月夜なの。どうかゆっくりしていらして」
「あまり人と話した事がないのです。宜しければ貴方の御噺を聞かせてくださいな」


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“今”は夜の帳が下りていますが、明るいうちに遊びに来てくれても嬉しいわ。

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ベラ君は中々に好奇心旺盛だな……。(少々驚きつつも、ゆっくりと記憶の紐を解き)
灰かぶりと呼ばれる少女が継母たちのいじめに遭いつつも、王子の舞踏会に参加して婚姻する流れは同じだった。
しかし王子が靴の持ち主を探す時、靴に足を入れる為に灰かぶりの姉はつま先を、妹はかかとを斬り落として強引に履いてしまうのだ。
王子は最初こそ認めるが、やがてストッキングに血が滲むと彼女たちが正しい持ち主ではないと気づくがね。

ああ、調べた所幸いなことにどちらも単独で荒らしていたことが分かった。
当時私は領を離れていたが、村の猟師達とアルテグルの私設警備班で討伐に成功したと聞いている。
熊は分からないが、猪肉は私の館に届いたので美味しく頂いたよ。

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