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黒蓮庵

【雑談ですよ】まあるい月影

もし貴方が黒蓮庵に足を踏み入れたならば、
この様な光景が目に入るでしょう。
ひとつは窓。
外からも見る事の出来た黒塗りの格子窓に、奥には円窓。
所謂和室と呼ばれる造りのようです。
ひとつは本。
低い2つの本棚に、綺麗に並べて入れられています。
…内容には偏りがある様ですが。
ひとつは宝石。
様々な宝石達が部屋の至る所で煌いています。
最後に白。
夜色に染まった庵の真ん中で、真白い少女が静かに佇んでいるのです。

「――ぁ…。こん、こんばん、は…?」
「もしかして、迷い込んでしまいましたか?」
「今日は綺麗な星月夜なの。どうかゆっくりしていらして」
「あまり人と話した事がないのです。宜しければ貴方の御噺を聞かせてくださいな」


ーーーーー
“今”は夜の帳が下りていますが、明るいうちに遊びに来てくれても嬉しいわ。

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(湖沼にかかる橋を一人の男が歩いている。
良質であろう礼服に身を包んだ背の高い男は、不思議なことに瞼を下ろしたままだ。
だが足取りは橋を逸れることなく、まっすぐと庵へ向かっている)

はて、遠目に見た時は幻かと思ったが……このような場所に庵とは。
夜の帳も月と星は遮れないが道理、ならば今宵は月明かりに誘われたと考えるべきか。
夜風に当たる程度のつもりだったが、面白いことは起こるものだ。

――夜分遅くに失礼する、どなたかお見えになられるだろうか?
(慣れない和風の扉をノックし、声をかけた後に扉より一歩退いた)

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