ギルドスレッド
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ラジオ屋
『窓ガラスには子供のような大きさの血の手形がべったりと張り付き、床の板目には黒くなった何かの液体が染み込んでいる。階段は踏む度にぎしぎしと鳴り、扉は蝶番がおかしいのか開閉の度にか細い悲鳴に似た甲高い音を立てた。カーテンは窓を開けてもいないのに翻り、時々なかった筈の場所に廊下が現れる。進んだことはないが、もし進んでしまったらどうなるのだろうか。その廊下の先には何かが立っていることもある。頭だけが大きい、人型の何か。子供向けの人形のような形状だが、左右に揺れてこちらを待っているようなのだ。雷鳴が轟く夜になれば、稲光に合わせてカーテンに首を吊って揺れる影が現れる。段々とこちらを向いているような気がするが、今の所完全にこちらを向く前に雷が止んでいるので何も起きてはいない。この家には何も謂れはなく、前に住んでいた家族は仕事の都合で引っ越しただけで何も起きてはいなかったらしい。私の妻はこの家を見た時にこう言った。「まあ、なんて素敵なお家かしら!」 ――私の目にだけこの家はおかしく見えているのだろうか。だとしたら何故』
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ラジオ屋なので