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ラジオ屋
『「これもどうぞ」老人は釣りをしていたのでしょう。魚籠からまだ跳ねている魚も取り出してくれました。「そのまま食べられるよ」私はもう老人のいうことをこれっぽっちも疑っておりません。焼いた魚を食べる時のように、まだ腕の中でのたうつ魚に歯を立てました。さくり、と果実を噛んだ時の音がします。魚の血が、いいえ、汁が溢れてきて手を濡らしました。皮はまさに果実のそれと似て、鱗は薄い飴の膜のように口の中でほのかに甘く砕けます。私は夢中でその魚を食べました。口の中に広がる汁が、とても美味しかったのです。食べ終わって放心状態の私に、老人は微笑みます。「ここのものは、皆美味しいんだ」そう言われて見てみますと、私には老人も美味しそうに見えてきました。褐色の肌は、クッキーのように堅いのでしょうか、ブラウニーのように柔らかいのでしょうか。そればかりが気になって仕方がありません。もうほとんど、無意識のようなものでした』
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いえ 受信機ではなく