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手記
(お茶を飲み終え、使った食器の洗い物と簡単な掃き掃除を済ませる。そうして、家の外に大きな盥を用意すると洗濯に取り掛かった。ここ数日分の衣服、寝具のカバー、その他いろいろと。とはいえ、私ひとりが暮らす中で生まれる洗い物など大した量ではなかった)――さて、取り掛かりますか。(腕をまくり、スカートも思い切りたくし上げて留めてしまう。はしたないなんて思わないでね、だって誰も見てやしない!)
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国の外れに、その森はあった。
名はなんといったろう。森の入り口にあたる小さな村のだれもが、名前など知りはしない。
――森は、森。
どうやらよくない謂れを持つらしいその森を、村人たちはあまり好ましく思ってはいないようだった。
森のかぼそい小路を、途中でさらに脇道へ逸れると、やがて小さな泉に行き当たる。
あたりには小剣のような葉を持つ植物が群生し、季節になると素朴な、けれど美しい花を咲かせるのだが――今はまだ、その盛りには遠い。
泉のほとりには、小さな家が一軒建っている。
木材で作られた家はこの辺りではありふれた造りで、こじんまりとして、どこか忘れ去られた風情を持ちながらも、廃屋というふうではなかった。
日が昇って、しばらく。
朝もやが薄れ始めたその家の扉が、不意に開かれた。
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