ギルドスレッド
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手記
……花の、香りねえ。(歩きながら、自分の髪の匂いを嗅いでみるが、特にそれらしい匂いは感じない。二の腕に鼻を近づけても、これもまたよくわからない。故郷では手作りの洗剤や石鹸にハーブを配合して香りづけをしたりもしていたけれど、そんな香りはとうに消えてしまっているはずだ。下宿先で使っている洗剤や石鹸は匂いの少ないものらしく、アンナが言うには全く別の、花のような匂いが、するそうだ)
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下宿先で朝食をもらい、数少ない私物を手に外へと出た。
今のところのは私は無職で、やるべきこともなにもない。
強いて言えば、この世界についての最低限の知識を得るために、ギルド・ローレットへと足を運ぶことが日課だった。
そうして知ったことは数多いが、正直『特異運命座標』が一体どういう存在であるのか、いまだによくわからない。実感もなかった。
――溜息を堪えて、小さく苦く笑った。
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