ギルドスレッド
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手記
ああ、だめね。何だかいじけてるわ、私。(軽く頭を振って、湿った思考を切り替える。履き古しの靴が石畳を叩く音を響かせながら、そういえばと、今朝方に下宿先の大家――名をアンナという40歳ほどの女性で、既婚者らしいがご主人の姿を見たことはない。詳しい事情は知らない――と交わした会話を思い出す。この世界における化粧や身嗜みがどうの、という女同士らしい何気ない話の流れだったのだけれど)(――『アンタ、いつもいいにおいがするよねえ。香水?』)
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下宿先で朝食をもらい、数少ない私物を手に外へと出た。
今のところのは私は無職で、やるべきこともなにもない。
強いて言えば、この世界についての最低限の知識を得るために、ギルド・ローレットへと足を運ぶことが日課だった。
そうして知ったことは数多いが、正直『特異運命座標』が一体どういう存在であるのか、いまだによくわからない。実感もなかった。
――溜息を堪えて、小さく苦く笑った。
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