その部屋は女王の執務室から近い位置にある。

客人を招き入れるための部屋。

壁には絵画が並び、棚には珍しい陶器のカップや調度品が置かれていた。
部屋の中央には大きなテーブル。それを囲むようにゆったりとした黒革のソファー。
毛の長い絨毯は、まるでクッションのように柔らかな感触を足裏に伝える事だろう。
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初詣の相談場所よ。
お誘いした方以外の書き込みはご遠慮願うわね。

そう。
でも我(わたし)は可愛くはないのよ。

可愛いです…！譲りませんよ…

むむむ。
強情ね。

レジーナさん譲り…でしょうか…？

譲ったつもりはないのだけれどね？

う〜ん……では…直伝…？

学ぶならもっと別の事を学んでほしいわねぇ？
まぁ、でも。
最初のオドオドよりは良いけれども。

そ、そう…ですか…？

ええ。
自分の言いたいことを大分言えるようになったもの。

い、言えて…いますでしょうか…？

最初よりはね？
とは言え、まだまだ自信とかそういうの不足してる感じはあるけれど。

うっ…そ、それは…

まぁ、自信というものは成功体験とかなんとかから来るらしいから……無理にとは言わないけどね。

成功体験…ですか…
私からは…程遠い…言葉…です…

あら。
星の回廊の謎を解いたのは汝(あなた)だったと記憶しているけれども？

あ、あれは…たまたまで…
それに…私は…戦闘で…お役に立てない…ので……みんなの変わりに…考える…くらいしか…できませんでしたから…

それでいいのよ。
自分のできることに全力を尽くした結果でしょう？

は、はい…足手まといは…嫌…でしたので…

なら、その功績を本人が誇らなきゃ誰が誇るのよ。

で、でも……

事実は変わらないわよ？

わ、私が…いなければ…もっと…楽だったかも…しれませんし…

楽な依頼なんてないわよ。
それに、結果が出たものにたらればはないのだわ。

うっ…それは…そうですが…

実績として誇ればいいのよ。
それで次もその調子で頑張ればいいのよ。

が、頑張り…ます…

うむ。
そうすると良いのだわ。

自分に…できることを…精一杯…ですね…

物理的に無理な事、実力的に無理な事は当然存在するのだわ。
それは依頼を受注する時に見定めなくてはならないのだけれども。

うぅん…私に出来ることが…少なすぎて…難しいです…

何ができるの？

り……料理…

いいじゃない。
存外できる人少ないわよ？

でも…これで…誰かのためになんて…

あら
それはゆみの発想次第ではないかしら？

私の…発想次第…ですか…？

ええ。
例えば士気向上
戦場において美味しい食事は何よりも喜ばれるのだわ。
或いは職能として
依頼として求められる事もあるでしょうね。

まぁ、やりようは無くもないのだわ。

うう…でも…料理が…できるなんて…謳っておいて…お口に合わなかったら……(久しぶりの悪思考のループ)

あら
それは当然の悩みでしょう

寧ろそこまで考えが至らない人は料理には向いていないのだわ。
気を遣えると言うことだもの。

そ、そう…でしょうか…？

そういうものよ。

うぅん…分かりました…
そのように…考えます…

前向きになってくれて嬉しいわ。

前向きに…なれているかは…不安ですが…

なれてるわよ。
少なくとも否定はしなくなったのだわ。

あっ……そ、そう…ですね…

うむ。
ゆみも着実に成長してる証ね。

本当に…成長できていれば…いいのですが…

少なくとも前には進んでいるわよ。

そう…ですか…？
……そう…ですね…