その部屋は女王の執務室から近い位置にある。

客人を招き入れるための部屋。

壁には絵画が並び、棚には珍しい陶器のカップや調度品が置かれていた。
部屋の中央には大きなテーブル。それを囲むようにゆったりとした黒革のソファー。
毛の長い絨毯は、まるでクッションのように柔らかな感触を足裏に伝える事だろう。

ふふ。では、赦しを願いたくなったら考えるのだわ。
と言っても変な話なのだけれど。
大罪女王と揶揄された我(わたし)が赦しだなんてね(可笑しそうに笑い)

全知全能にして完璧、至高たる神……。
でも、だからこそダウングレードした存在が必要になるのではない？
世界システムの運用においては、一部のミスも隙も許されないから完璧であることが求められるけれど……でも、こと信仰においてはどうかしら？
人間て現金なもので、遠い存在よりも身近な存在の方がより強く信頼したりするのよね。
その為の天使であり、救世主なのではないかしら？

(レジーナという言葉に、少し驚き、次いで嬉しそうにしつつ)
えー？
それってズルいのだわ？
では、こうしましょう。
森羅万象、あまねくものはすべからく等価にて取引されるもの。
天使と言えどもこの物理世界に存在するのならばそれに従って貰うのだわ。
つまりー……秘密を知りたければ、そちらも秘密、か何かさしだすことね！
(ふふん、と胸を張り)