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宿屋【金色流れ星】

宿屋2階『ミルフィのお部屋』

宿屋の2階にあるミルフィのお部屋。
テーブルとイス、シングルベッドが置かれており基本的な家具は一通り構成そろっている。また、テーブルの上にはちょっと上手な作りのカピバラさんのぬいぐるみがおいてある。

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「ふふっ、そうだといいわね!」

私もなれるだろうか。尊敬する父と母のような、立派な存在に。
そうなれるよう、大人にならなくちゃ。なんて子供なりに、胸の中でつぶやいた。

「……。」

咀嚼するように真剣に聞いて、理解できる範囲で飲み込んで、相槌を打った。
彼の過去を聞いてはじめに思ったのは、あぁ…やっぱり…。という感想。

普段から礼儀正しく人に気を配るのも上手で気さくな態度で
誰かと話している彼からは想像できない程の壮絶な過去だと思う。

けれど、その立ち振る舞いの中にも他人に深入りしないような…
特に自身について触れられるようなことは避けていたように見えた。

そんな彼の昔話だ。ある程度、苦しい話だとは覚悟していたし、
実際、聞いている時もやけに落ち着いた気分で聞けている自分がいる。
というのも、彼の過去に関しては自身の過去とかけ離れすぎて
想像してもしきれないところがあるのが大きいだろう。

なんとなく想像できるけど、どこか上の空な感覚。

「…兄様には小さい頃にずっと一緒に居た大切な弟が居たのね!」

兄様には弟分が居たという。
子供ながら手を取り合って逞しく生きていたんだと、なんとなく感じた。
きっとたくさんの不幸に巻き込まれたり、理不尽に耐えながら
生きやすい場所へと移動して深緑にたどり着いたのだろう…。

彼の語る、弟分とはどんな子なんだろうか。
そんな存在に惹かれながら、彼女は話を続きを、と催促するのだった。

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