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宿屋【金色流れ星】

宿屋2階『ミルフィのお部屋』

宿屋の2階にあるミルフィのお部屋。
テーブルとイス、シングルベッドが置かれており基本的な家具は一通り構成そろっている。また、テーブルの上にはちょっと上手な作りのカピバラさんのぬいぐるみがおいてある。

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「…ふふっ♪」

思わず感嘆を口にした兄様の声を聞いて、嬉しそうに耳をパタつかせる。
無意識に彼女の尻尾が揺れた。

「えぇ、そうでしょう?
 わたしのお母様はとっても綺麗な人で、お歌もすっごく上手なのよ!」

ミルフィは語る、彼女の母は元々オペラ歌手として有名な貴婦人でピアノの講師としても有名だった事。彼女の父は有名な作曲家で何かと公演で忙しく家を開けていたが、家に帰ればたくさん甘えさせてくれた…とか、そんな話だ。

「んー…。久々に子守唄を口ずさんだら私まで心地よくなっちゃった。」

だらしなく彼にもたれ掛かる。
少しずつ強く抱きしめてくれる兄様の手に、そっと手を重ねて微睡んだ。

「兄様は小さい頃、どんな子だったの?」

ふと、彼女が思ったのは幼き頃の彼への興味。
小さい頃…彼も子守唄を歌ってもらっていた時期があったりするのだろうか。
今の私のように子供らしく誰かに甘えたり、遊んでいた時期があったのだろうか。
当たり前なことだけど、あまり想像がつかない。

触れたことがないのだ、彼の過去に。
彼も彼女もお互いのことを知らなすぎる。

だから、こういう時こそ、彼“過去”に触れてみたいと思ったんだ。

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