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魔王神殿ズィンゲンレーゲル

レイン・ラディアの部屋

(一言でいうならば異質。
 豪奢な王座、神殿とはかけ離れた部屋。
 鳥かごが存在するが、鳥は存在せず
 とこにも通じない電話が1つ。
 机の上には、日記と万年筆。チョコレートが置いてある。
 ベッドにぽつんと古びたドラゴンのぬいぐるみがある
 ドラゴンにしては、その羽根は蝶のようだが…
 出入り口には、歯車とそれを回す取っ手。
 これを回すことで、ベッドに檻を下ろす仕組みとなっている。

 ―ーつまりここは、牢屋であった。)

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……ありがとう、と言えば良いのだろうか。
此方に来てからここまで話したのは初めてでね。その、勝手が分からないのさ……
(撫でるレインの手を愛しく思いながら、そのまま静かに目を閉じて話を続けようとする)

関係はある。
というよりは、半ばあの頃の私は若さ故に怒っていたのだよ、多分ね。
だから私は父は騎士としての使命があってならず、妹は私と同じ病でなれなかった勇者に……なろうとしたのさ。

人の為だけに在る勇者に。

さっき、君が私に問いかけた疑問に答えよう。
私は勇者にはなれなかった。
金を積んでも洞窟へ行っても、まず私の体力はおろか病に侵された体ではとても奥を目指す事も叶わないのだからね。

だから、私は他の方法を模索したのさ。
勇者に最も近い、別の存在になれる方法が世界の何処かにあるのではないかとね……幸い、私はもう没落して誰もいなくなった家に未練も無く金に執着も無い。
故に……死に場所でも探すかのような旅に出たんだ。

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