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アルトバ文具店

PPP二周年【日記帳】

机の上に一冊の本がある。
或る旅人の日記帳のようだ。

公式掲示板「捜索立候補スレッド」にてお名前を拝見した方、依頼でお世話になった方をお借りしております。
ご厚意に甘える形となりますので、削除して欲しいなど御座いましたら遠慮なくお申し付け下さい。

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『蜜柑の文香』 フェスタ・カーニバル様(p3p000545)

「……ふぅ」
 深呼吸の音がひとつ。それと、少しばかり冷えた汗が額から一筋。
 それが終わりの合図だった。
 吹き上げた炎翼にひらひらと氷の結晶が混じる。
 相対する熱量は双手の盾に収束し、元の巨大な盾へと形を戻した。
「大丈夫だった?」
 両手で掲げるほどの巨大な盾。だと言うのに扱う少女に疲労は見えない。
 ただ、背後を案ずる心配の色が瞳に浮かんでいた。

「浴衣もいいけど、水着も着たいなぁ。どっちがいいかなぁ。うーん、迷っちゃう!」
 湿った草土の匂い。山裾から伸びる白い雲。
 夏の始まりが近づいている。
 依頼が終わった開放感からか、彼女は青い空に向かって大きく伸びをした。
 先ほどまでの勇姿は鳴りを潜め、道を歩く姿は年頃の少女そのものだ。
「どうしたの?」
 無遠慮に向けられた視線に気づいたのか、微笑みが上を向いた。
 君はどうしてそんなに強いのか。
 守るという気迫は、護るという信念は、一体どこからやってくるのか。
 閉じた口の中で疑問を消す。
 聞くまでもない。これは彼女が重ねた努力の可視化だ。
「いや。きっと、どっちも似合うだろうなぁと思って」
 水着も、浴衣も。

 蜜を集める蜂の羽音が聞こえる。
 道脇に咲いた柑橘類から、白い花の香がした。

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