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アルトバ文具店
『蜜柑の文香』 フェスタ・カーニバル様(p3p000545)
「……ふぅ」
深呼吸の音がひとつ。それと、少しばかり冷えた汗が額から一筋。
それが終わりの合図だった。
吹き上げた炎翼にひらひらと氷の結晶が混じる。
相対する熱量は双手の盾に収束し、元の巨大な盾へと形を戻した。
「大丈夫だった?」
両手で掲げるほどの巨大な盾。だと言うのに扱う少女に疲労は見えない。
ただ、背後を案ずる心配の色が瞳に浮かんでいた。
「浴衣もいいけど、水着も着たいなぁ。どっちがいいかなぁ。うーん、迷っちゃう!」
湿った草土の匂い。山裾から伸びる白い雲。
夏の始まりが近づいている。
依頼が終わった開放感からか、彼女は青い空に向かって大きく伸びをした。
先ほどまでの勇姿は鳴りを潜め、道を歩く姿は年頃の少女そのものだ。
「どうしたの?」
無遠慮に向けられた視線に気づいたのか、微笑みが上を向いた。
君はどうしてそんなに強いのか。
守るという気迫は、護るという信念は、一体どこからやってくるのか。
閉じた口の中で疑問を消す。
聞くまでもない。これは彼女が重ねた努力の可視化だ。
「いや。きっと、どっちも似合うだろうなぁと思って」
水着も、浴衣も。
蜜を集める蜂の羽音が聞こえる。
道脇に咲いた柑橘類から、白い花の香がした。
「……ふぅ」
深呼吸の音がひとつ。それと、少しばかり冷えた汗が額から一筋。
それが終わりの合図だった。
吹き上げた炎翼にひらひらと氷の結晶が混じる。
相対する熱量は双手の盾に収束し、元の巨大な盾へと形を戻した。
「大丈夫だった?」
両手で掲げるほどの巨大な盾。だと言うのに扱う少女に疲労は見えない。
ただ、背後を案ずる心配の色が瞳に浮かんでいた。
「浴衣もいいけど、水着も着たいなぁ。どっちがいいかなぁ。うーん、迷っちゃう!」
湿った草土の匂い。山裾から伸びる白い雲。
夏の始まりが近づいている。
依頼が終わった開放感からか、彼女は青い空に向かって大きく伸びをした。
先ほどまでの勇姿は鳴りを潜め、道を歩く姿は年頃の少女そのものだ。
「どうしたの?」
無遠慮に向けられた視線に気づいたのか、微笑みが上を向いた。
君はどうしてそんなに強いのか。
守るという気迫は、護るという信念は、一体どこからやってくるのか。
閉じた口の中で疑問を消す。
聞くまでもない。これは彼女が重ねた努力の可視化だ。
「いや。きっと、どっちも似合うだろうなぁと思って」
水着も、浴衣も。
蜜を集める蜂の羽音が聞こえる。
道脇に咲いた柑橘類から、白い花の香がした。
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