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アルトバ文具店

PPP一周年【プレゼント用ラッピング】

机上に転がる万年筆と空のインク瓶。
どこかの誰かが見かけて、映し取った一ページ。

※おめでとう、そして遊んでくれてありがとうという感謝をつめた小噺。細胞分裂する。

※NPC,PPP一周年描写立候補スレッドにいらっしゃる方を事後承諾でお借りすることがございます。ご了承ください。

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【猪の古銅印 2/2】

 敵味方関係なく息を飲む音が伝染する。
「ぶはははっ! 俺のことをそこまで知ってるなら、改めて自己紹介はいらんわな」
 剛毅果断な声と共に、前振りなく肩に担いでいた警棒が振り下ろされた。
 夕暮れの山峡に一筋の雷轟が閃く。
 破砕され、飛散する岩石の欠片。振り下ろされた剛力に耐えきれず鳴動する大地。地より吹きつける暴風。盗賊たちは咄嗟に顔を隠したが無駄な抵抗で終わる。
 のちに助けられた護衛は語った。
「蜘蛛の子を散らすようにという表現は、人が吹っ飛んだ時にも使えるんだなー」と。

 砂礫の雨を一身に浴びながら、ゴリョウ・クートンは山の如く立っていた。
 大地を二分するほどの威力を見せた戦棍を肩に乗せ、獰猛かつ愛嬌のある笑みを浮かべている。
「そういう訳だからよ。これ以上怪我したく無けりゃあ、大人しく投降しな」
 最後の戦意が蝋燭の炎のように消えた。
 カラカラと、錆と汚れに塗れた武装が脱力して地へと落ちていく。
 ほどなくして、縄をかけられていた者とかけていた者の立場は逆転した。

「危ないところを、ありがとうございました」
「いいってことよ。ちょうど通り道だったしな」
 隊列を率いていた年嵩の商人が深々と頭を垂れた。そこには探りを入れる不躾な視線も含まれているがゴリョウは気にすることなく肩を竦めた。
 堂々とした自然体の応対に、格の違いを見せつけられた商人は詫びるように目を伏せる。
「このような人通りの少ない街道を?」 
「ちっと海洋に用があってよ」
 貴方も祭りですかと問われ、ゴリョウは目を細める。
 夏。白い砂浜に広がる色彩豊かな傘。楽し気な笑い声と涼やかなサマーブルー。焼けた醤油と甘いシロップの香。 見ず知らずの高揚に向かって歩くのは一人だけではなかったようだ。
「目的地までご一緒しません?」
 まだ年若い商人が目を輝かせて口を挟んで叱られている。
 護衛代をケチろうとしているのか。はたまたイレギュラーズと行動を共にすることで商機を見出そうとしているのか。
 小狡いとも言える申し出に対してもゴリョウは楽しげだ。
「いいぜ。袖すり合うも他生の縁とも言うしな!」
 駆け引きすらも楽しいと言わんばかりに戦棍「無錫排骨」を担ぎなおすゴリョウ。
 夕暮れに浮かぶ横顔は名将の風格を帯びていた。

【感謝】
・ゴリョウ・クートン様(p3p002081)

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