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アルトバ文具店

PPP一周年【プレゼント用ラッピング】

机上に転がる万年筆と空のインク瓶。
どこかの誰かが見かけて、映し取った一ページ。

※おめでとう、そして遊んでくれてありがとうという感謝をつめた小噺。細胞分裂する。

※NPC,PPP一周年描写立候補スレッドにいらっしゃる方を事後承諾でお借りすることがございます。ご了承ください。

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【猪の古銅印 1/2】
「おいおい、勘弁してくれよ」
 夕日が山間へと沈む黄昏時。
 山峡の小道に響いたのは、そんな物悲しい声だった。
 まるで買ったばかりの二段アイスクリームを地面に落としてしまったような。
 まるで商家の二頭立て馬車が襲われた現場に偶然出くわしてしまったような。
 そんな落胆と呆れと、鉄の意思が滲んだ威圧。

 盗賊たちは獲物の強奪を一時中断し、それぞれの武器に手をかけた。
 一度でも生き死にの狭間に身を置いた者は知っていた。
 突如として現れたこの強者から、あるいは獣から、視線を背けることが如何に危険であるかを。
 知らずとも生存を叫ぶ本能に従えば、無視をするなど到底不可能だろう。

 真朱の夕陽を背に、黒色の大山が姿を現す。
 縄をかけられた旅商人や護衛たちの目に光が射した。
 瓦の如く撫でつけられた黒色の髪。
 空を駆る猛禽類の羽根を思わせる肌。
 ジャラリと金の耳飾りが揺れる尖った耳。
 穏やかに笑む口元から伸びた鋭い牙。
 堂々とした鼻は天を向き、太陽の光を滲ませた金色の瞳が知的に細められている。
「あれは…、獣人か?」
 盗賊の一人が、己の抱いた疑問を口から零す。
「いや、あれはオークだ!」
 それを否定したのは、耳が早いことで有名な商人の一人である。
「オーク?」
「そうだ。幻想の商人から聞いたことがある。ローレットには類稀なる勇猛さと統率力を持つ、カリスマ性のある者がいると。
 その者はオークという黒き豚人に似た種族の出であり、恵まれた体躯と将たる風格を纏っているらしい」
 そうだ、と荒事に詳しい商人が続く。
「私も聞いた事がある。一度、その鼓舞を耳にすればどのような臆病者であろうとも勇気は泉の如く沸き立ち、疾風迅雷の体捌きは竜や魔種すらも下すという。あの、恐ろしいサーカスを退けたという噂だ。何より一度見れば忘れるはずもない、あの見事な腹!」
 その場に居合わせた視線すべてが、吸い寄せられるように一点へと集中した。
 ぽよんと出た腹部のお肉。
 魅惑のモチモチ感。
 審美眼のある者がいれば王家の宝物である絹布団も霞む感触を幻視していたに違いない。
 生きとし生けるもの全てを堕落させる至高のモチモチが、惜しげもなく、晒されている。
「あの御方こそ、イレギュラーズのゴリョウ・クートン!」

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