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アルトバ文具店
『白昼夢の天気管』(ルブラット・メルクライン様)
うだるように熱く、生気の溢れる地上の四季よりも、光届かぬ世界の向こうで静謐を浴そうか。
そう思い立った結果、偽の履歴書を捏造されたり、競売にかけられたり、演説してみたり、見知らぬ大多数の頭蓋骨にフルスイングをかましてみたりと存外忙しい一日を送ってしまったルブラットの手には一冊の鑑定書が記念品として追加された。
「昨今の行動をかえりみるに、私の場合、静謐さとは無縁の場所に帰着しているような気がしないでもない……」
「あら、ルブラット」
「おや、マーレボルジェ。今日も血色が悪いようだな。瀉血は如何」
「お断りよ」
「そうか」
痩せぎすの少女がふらりと奥の牢から現れたのでルブラットは慇懃無礼に瀉血を申し出たが、即座に断られた。
ルブラットの善意はいつだって全力で断られてしまう。
「ついに収監されたの?」
「いいや、錬金術の国を旅して来たので土産物を配っていたところだ。なに、そう睨まずとも君の分もちゃんとある。七星テントウムシ蜘蛛の剥製、他色々だ。諸手を挙げて喜びたまえ」
「確かに興味を魅かれる素材だが一言いいかしら?」
「何かね?」
「囚人に旅行の土産を渡しにくるって、どんな根性だァーー!?」
「ははは、生来の気質としか説明のしようが無い。ああ、そうだ。先ほど競売にかけられるに当たって偽の経歴書を作ってもらったのだが、読み物としては中々面白い。読むかね?」
「競ッ!? 待て。何があった。一から説明しろ」
「立ち話も何だな」
「椅子とテーブル出せばいいんでしょ、出せば!」
その会話はさながら牛と闘牛士の如く舞い踊り。
静けさを愛するとは言え、賑やかさを忌避する訳では無い。
思う存分、はしゃごうじゃないか。祝いの日なのだから。
――Thank you !!
うだるように熱く、生気の溢れる地上の四季よりも、光届かぬ世界の向こうで静謐を浴そうか。
そう思い立った結果、偽の履歴書を捏造されたり、競売にかけられたり、演説してみたり、見知らぬ大多数の頭蓋骨にフルスイングをかましてみたりと存外忙しい一日を送ってしまったルブラットの手には一冊の鑑定書が記念品として追加された。
「昨今の行動をかえりみるに、私の場合、静謐さとは無縁の場所に帰着しているような気がしないでもない……」
「あら、ルブラット」
「おや、マーレボルジェ。今日も血色が悪いようだな。瀉血は如何」
「お断りよ」
「そうか」
痩せぎすの少女がふらりと奥の牢から現れたのでルブラットは慇懃無礼に瀉血を申し出たが、即座に断られた。
ルブラットの善意はいつだって全力で断られてしまう。
「ついに収監されたの?」
「いいや、錬金術の国を旅して来たので土産物を配っていたところだ。なに、そう睨まずとも君の分もちゃんとある。七星テントウムシ蜘蛛の剥製、他色々だ。諸手を挙げて喜びたまえ」
「確かに興味を魅かれる素材だが一言いいかしら?」
「何かね?」
「囚人に旅行の土産を渡しにくるって、どんな根性だァーー!?」
「ははは、生来の気質としか説明のしようが無い。ああ、そうだ。先ほど競売にかけられるに当たって偽の経歴書を作ってもらったのだが、読み物としては中々面白い。読むかね?」
「競ッ!? 待て。何があった。一から説明しろ」
「立ち話も何だな」
「椅子とテーブル出せばいいんでしょ、出せば!」
その会話はさながら牛と闘牛士の如く舞い踊り。
静けさを愛するとは言え、賑やかさを忌避する訳では無い。
思う存分、はしゃごうじゃないか。祝いの日なのだから。
――Thank you !!
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四年という歳月は短く、長い。